風 風に誘われて散歩に出る。風に吹かれて歩く道。無色の風に色彩を感じるように、花の香りが混じった気がしていた。手で掴もうとした風は、指の隙間からこぼれて、仰ぎ見た空には雲が流れていた。海に吹く強い強い風は、何故か不思議と潮気は少なくて、遥かな水平線から吹いて来る風に、繰り返し繰り返し波が打ち返していた。家に帰ると風は止み、窓を開けて入ってくる風は音を運んで来た。