
この世界はひとつの部屋。
4方を壁に囲まれた部屋。
壁を叩いて聞こえる音は、この部屋のもの。
壁を照らし出す光も、この部屋のもの。
ああ、それでも、壁はあるのだ。
私は、この広い広い部屋で生まれた。
目に映る全ては、この部屋のもの。
私が恋した全ては、この部屋のもの。
ああ、それでも、それはあるのだ。
この部屋の全ての美しいものが語りかけるのだ。
それは、そこにあると。
目を閉じれば、窒息してしまいそうな壁。
その向こうに何があるか、それは分からない。
ああ、それでも、
己が虜囚の身であることを知り、
どうして自由を欲せずにいられるだろうか。