『無題』

言葉を紡ぐのは、どんな時でも簡単なことではなくて、無言の中でも雄弁な木々たちを少し羨ましく思う。光の中で、たったひとりで創った影は、畏敬の念を抱くほど正直だった。

社の裏側にも光は零れてきて、その光は優しく竹の葉を照らし出す。眩しい世界では気付かないこともあって、薄暗い場所でじっと何かを探していた。そんな記憶がうっすらと蘇る。

気が遠くなるほど明るい陽射しから、ただ一本の木を隔てるだけで、そこには柔らかい空間が広がっている。その下では幾万の生態系が守られている。小さな宇宙。そんなことを感じた。