John William Waterhouse
《Ophelia》 1894

Oil on canvas, 124.4x73.6cm
画家特集第23回はジョン・ウィリアム・ウォーターハウス
(John William Waterhouse 1849-1917)
ローマ生まれヴィクトリア朝期のイギリス人画家です。
彼は神話や伝説を元に理想の女性美を描き続けました。
上に掲げた《オフィーリア》、シェークスピア原作の
『ハムレット』のヒロインとして有名ですが、
度重なる悲しみで狂気に陥った彼女は溺死してしまいます。
くすんだ背景から浮き上がるような、あまりにも白い肌、
生気は失われ存在は薄く儚く、今にも崩れ落ちそうです。
《Diogenes》 1882

Oil on canvas, 208.3x134.6cm
The Art Gallery of New South Wales, Sydney

Oil on canvas, 208.3x134.6cm
The Art Gallery of New South Wales, Sydney
ディオゲネスは紀元前のギリシャ哲学者で、
物的な所有欲を廃して甕で暮らしたと云われている人です。
この絵では無遠慮な乙女たちが老哲学者を嘲笑っています。
日差しの中で輝く乙女達、甕の中の老哲学者の深いまなざし。
またディオゲネスはアレクサンドロス大王が挨拶に来た時に、
「太陽と私の間に立たないで下さい」と言ってのけ、
それを聞いた大王に、「私がアレクサンドロスでなかったら
ディオゲネスになりたい」と言わしめた人物であり、
階段上で日差しを遮る乙女は無知を象徴してもいるようです。
果たして真の美はどちらのものなのか・・・
《The Lady Clare》 1900

Oil on canvas, 76x61cm

Oil on canvas, 76x61cm
レディ・クレアはテニスンの詩に登場する女性です。
愛するロナルド卿と婚約していた彼女は結婚式当日、
実は自分が貴族ではないことを知ります。義務感から
彼女は愛の証として卿から送られた白い牝鹿を
小豆色の貧しい農民の服を着て返しに行きます。
しかしロナルド卿は自分が愛する彼女と結婚したのでした。
まっすぐに鑑賞者を見つめる、憂いを帯びた瞳。力強い瞳。
《Boreas》 1903

Oil on canvas, 94x68.8cm

Oil on canvas, 94x68.8cm
ボレアスは北風の神であり、この絵の女性オレイテュイアに
一目惚れをして、風と共に彼女を連れ去り妻とします。
風に吹かれ、ただならぬ何かを感じとるオレイテュイアの瞳。
北風で風になびくショール、寒色で描かれたオレイテュイア
黄色の花が春に別れを告げるように、切なく飾られています。
この絵は彼の絵の中でも圧倒的に美しいと思います。
なぜオレイテュイアではなく、ボレアスと名付けられたか、
彼女を取り巻く風を見ていると分かる気がします。