二匹の蝉 | 想像上のLand's berry

想像上のLand's berry

言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
少年が住んでいた場所は蝉が多かった。

ある日、従兄弟が遊びに来て一緒に蝉を採った。


少年は嬉しくて、2匹の蝉を薄い緑色の虫籠に入れ、

次の日の保育園に持って行った。

少年は友人の子に自慢気にそれを見せた。

友人の子は、羨ましそうに見た後、

おもむろに虫籠の蓋を開けた。

蝉は飛んで行った。


友人の子に悪意は無かったであろう。

ただ、蓋を開ければ蝉が逃げるという

理解が無かっただけなのだ。


少年は友人の子に怒ってみせたが、

本当の所、それはどうでも良かった。

少年の心には、窓から空高く飛んで行った

二匹の蝉が、深く刻み込まれた。


大人になった今も少年は思い出すのだ。

あの夏の日、眩しい太陽に向かって

まっすぐ飛んで行った二匹の蝉の姿を・・・