『平家物語』
古今東西の古典を勝手に選定しオススメする[古典のススメ]
第1回は『平家物語』(13世紀頃成立)です。
特定の作者を推定するのは難しいのですが、
流れるようなリズムを持った文章で書かれた軍記物語は、
「ホメロス」のような書き手を想像させます。
1話1話が珠玉のエピソードになっていて、
単独でその場面だけを読んでも引き込まれます。
それら個々のエピソードを全体的な無常観が包み込みます。
今さら言うまでもないですが
日本文学における最高峰の古典の一つです。
僕は平家の公達の中では「平重衡」が1番好きです。
将才に恵まれた彼を失ってから、源平の戦いは
加速度的に終局に向かっていったように思います。
彼はその死に様も潔く、まさにカッコイイ人物です。
過失とはいえ東大寺/興福寺を焼き討ちしてしまったのは、
後世から見ても痛恨事でしたが。
源氏に連敗し、あげく都落ちの後に陣中逃亡したことで
酷評される「平維盛」ですが、僕は彼が登場する場面に
最も心を惹かれます。都落ちする時の家族との別れや、
一族の中で立場を失って陣中逃亡した後、那智の沖で
愛する家族を最後まで想いながら入水した彼の心情は
現代に生きる僕には痛いほど良く分かります。
彼は生まれてくる時代を間違えた悲劇の貴公子でした。