
紫のそら
紺色の背景
オレンジの海
二つの月、二つの太陽。
彼は考える。あの光も消えるときがあるのかと。
やがて夜が来る。黒い夜が。
彼は黒の夜が一番好きだった。七色の夜の中でも。
声が聞こえた。彼は教えられていた。
「外に出てはいけない、黒の夜には。
そらに呑み込まれてしまうから」
彼は知っていた。あの黒が徐々に広がっているのを。
声が聞こえる、あれは誰の声か、あれは誰かの声か。
海が見える。オレンジ色の海。
彼は嫌いだった。このオレンジ色の海が。
彼の祖先は、此処から来たのではなかった。
この海は歌わない。
一人歩く、只々その道を。
木が見える。灰色の木。
溶け込まない。深い深い背景にも。
馴染まない。どんな色の背景にも。
彼の求める物がある。あの灰色の木の下に。
そんなに違いは無かった。夢と現実と。