3日(土)、読み掛けてた乙川優三郎の『ロゴスの市』を読み終えた。

アメリカ文学の翻訳者である弘之と、同時通訳者として日本はもちろん世界を飛び回る悠子の大学時代の出会いから、30年後の突然な悠子との死別を描く一種の恋愛小説ではある。ただそれは決して単なる恋愛ものではなく、翻訳・同時通訳という似て非なるものの世界をしっかり教えてくれる。

 

単に英語が得意というだけでは、決して務まらない仕事なのだ。

英語と言っても、地方によって様々な方言があるし、特殊な社会には特殊な用語があるから、それをどう訳すか、特に同時通訳ともなれば数秒でそれらに対応せねばならない。

例えば・・「あ・うん」を英訳すれば?という具合だ。

 

この小説の魅力は、決してそのストーリーにあるんじゃなく、研ぎ澄まされた言葉が全体に散りばめられてる点にあろうかと思う。それはもちろん乙川優三郎という作家の豊富な語彙あってのことだ。

この作家、多分向田邦子のファンだろう、彼女の飛行機事故と悠子の飛行機事故を重ねておるのだった。

お勧めしたい本のひとつ。

 

神戸市北区の気温は氷点下だろうから、シモバシラが立派に育ってるはず、森林植物園に出掛けようか。