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その一歩は、どこから来たのか。Nikeの「Just Do It」に隠された、あまりに意外な「死」の匂い

 

 

皆さんは、スポーツブランドの「Nike(ナイキ)」、好きですか? 私は大好きです。

 

あの「スウッシュ」と呼ばれるロゴマークとセットで刻まれているスローガン、「Just Do It」。直訳すれば「とにかくやってみよう」「いいからやれ」という、シンプルで力強いこの言葉は、今や世界で最も有名な企業キャッチコピーの一つですよね。

 

部活で苦しいとき、受験勉強で心が折れそうなとき。この言葉に背中を押されたという人も多いのではないでしょうか。実は私もその一人でした。ポジティブで、前向きで、挑戦を象徴する、最高にクリーンな一言。

 

……でも、この言葉の「本当の由来」を知ったとき、私は正直、言葉を失いました。このアクティブなスローガンのインスピレーションの源は、なんと一人の「死刑囚」が処刑される直前に放った一言だったのです。

今回は、このあまりに意外すぎる背景と、そこから見えてくる「言葉の力」について、自分なりに深掘りしてみたいと思います。

 

1. 1977年、ある死刑囚の最期の一言

時計の針を1977年1月に戻します。場所はアメリカのユタ州。 そこに、ゲリー・ギルモアという男がいました。彼は強盗殺人を犯し、死刑判決を受けた人物です。当時のアメリカは死刑制度が一時的に停止されていましたが、彼は自ら死刑を望み、全米で大きな注目を集めていました。

 

1月17日の死刑執行当日。銃殺刑を目前にした彼に、執行官が「最後に言い残すことはあるか」と問いかけました。その時、彼が呟いた言葉。

 

「Let’s do it.(さあ、やろうぜ)」

 

これが、のちに世界を席巻するスローガンの原型となった言葉です。あまりにも不吉で、あまりにも衝撃的な瞬間。自分が今から撃たれるという瞬間に「やろうぜ」と言い放つその精神状態は、想像を絶するものがあります。

 

2. 「Let’s」が「Just」に変わった瞬間

それから約10年後の1988年。Nikeの広告を担当していたダン・ウィーデンという人物が、新しいキャンペーンのキャッチコピーを考えていました。

 

彼はこのギルモアの「最期の一言」を、なぜかずっと覚えていたそうです。

 

死を目前にした人間が、ある種の覚悟を持って放った「Let’s do it」という言葉。ウィーデンはその言葉の底にある、「逃げ場のない場所で、覚悟を決めて一歩踏み出す」という究極のエネルギーに注目しました。

 

彼は、その「Let’s」を「Just」に書き換えました。 「自分たちで一緒にやろう」という誘いのニュアンスから、「言い訳をせずに、ただ行動しろ」という、よりストイックで強烈なメッセージへと昇華させたのです。こうして、歴史に残る「Just Do It」が誕生しました。

3. 創業者さえも疑った、その「危うさ」

実は、Nikeの共同創業者であるフィル・ナイトは、最初このフレーズを提示されたとき「あんなものはいらない」と一蹴したそうです。

 

 

 

まさか世界的企業のイメージを左右するスローガンの由来が、殺人犯の末期の言葉だなんて、企業リスクとしては最大級です。

もし当時、SNSがあったら「不謹慎だ」と大炎上していたかもしれません。

 

 

それでもダン・ウィーデンは、この言葉が持つ「本質的な強さ」を信じて、ナイトを説得しました。結果として、このスローガンは採用され、Nikeは低迷期を脱して世界トップのスポーツブランドへと駆け上がることになります。

 

4. 言葉は「由来」を超えるのか

ここで、私が大学生として一番考えさせられたポイントがあります。それは、「言葉の由来」と「言葉が今持っている意味」のギャップについてです。

 

「Just Do It」の背景にあるのは、血なまぐさい事件と死の影です。

 

でも、今この言葉を聞いて「死刑囚」を思い浮かべる人はほとんどいません。

 

多くの人が思い浮かべるのは、泥だらけになって走るアスリートや、限界を超えようとする自分自身の姿です。

 

 

これは、言葉が「由来」という呪縛を乗り越えて、新しい価値を獲得した例だと言えるのではないでしょうか。

元々の由来がどうであれ、それを「辛く苦しくても、一歩踏み出して挑戦し、前進せよ」というポジティブなメッセージとして受け取り、実際に誰かの力になっている。

 

これこそが、言葉の面白さだと感じます。

 

 

5. 「覚悟」という共通点

なぜ、殺人犯の言葉がアスリートに響くスローガンになり得たのか。 そこには「覚悟」という共通点があるからだと私は思います。

 

ギルモアの「Let’s do it」は、死という逃れられない運命を前にした、絶望的な、でも逃げない覚悟でした。 一方で、アスリートが試合前に感じるプレッシャーや、私たちが人生の大きな決断を迫られるときに感じる恐怖。それらもまた、ある種の「逃げられない瞬間」です。

 

「もう後には引けない。やるしかないんだ」

そんな極限状態にあるとき、人は綺麗事の励ましよりも、「いいからやれ」という突き放すような、でも確信に満ちた一言を必要とするのかもしれません。

 

まとめ:20歳の私が受け取ったメッセージ

 

「Just Do It」の由来が殺人犯だったという事実は、人によってはショックかもしれません。でも私は、この背景を知ることで、この言葉がより重層的に、力強く聞こえるようになりました。

 

どんなに暗い過去や背景があっても、それをどう解釈し、どう使い、どう未来へ繋げるか。 それは、言葉を使う私たち次第なのだと思います。

 

「色々考えてしまうけれど、結局、やるしかないんだよね」

 

そんな風に、今日も私はNikeのスニーカーを履いて、大学へ向かいます。皆さんも、もし何かに迷ったときは、このスローガンの持つ「覚悟」の重みを思い出してみてください!