『何かしたいことない?』
『どこか行きたい所ある?』
時々、家族に聞かれる。
『とくにない』
これが、いつものやりとり。
通院か、家族に連れ出されてスーパーへ。
それ以外の外出は億劫だ。
時々、したいことや行きたい場所が思い浮かぶこともある。
行くと決めた約束を、守れる自信がない。
口に出すと、行かなければならなくなる。
予定外のことが起きるとパニックになるから、人に迷惑をかけてしまうかもしれない。
いつも、その気持ちが勝ってしまう。
ベッドでぼんやりしていたら、急に頭に浮かんだ。
バラって、今の季節じゃなかったかな。
秋だったかな。
理由はわからないが、行きたくなった。
調べてみたら、一番近くのバラ園がちょうど見頃だった。
いつもなら、心の中で行きたいなって思うだけ。
私『バラ園に行きたいんだけど』
夫『いいよ。じゃあ明日行こう』
私『やっぱり、やめとこうかな。
人が多そうだし。
日焼けしそうだし。
でも行きたいな。
どうしよう。
やっぱり、無理かな』
夫『行こうよ。
しんどかったら、すぐに帰ろう』
今回は珍しく行きたいと言ってみた。
ちゃんと準備をして、薬を飲んで出かけた。
人が多くて緊張した。
暑くて辛かった。
でも、それ以上にバラを見に来られたことがうれしかった。
久しぶりにたくさん太陽を浴びた。
たくさん汗をかいた。
日焼けも心地良かった。
夫が屋台で買った焼きそばを、少しもらって食べた。
ビールも飲んだ。
とても良い日だった。


