担当看護師は1日に昼と夜で2人。
また次に会えるのは、だいたい1週間後。
とても優しい看護師が夜勤の担当の日だった。
ICUから外科へ来てすぐに担当してくれた。
久しぶりの再会だった。
ベッドの横に屈んで話かけてくれた。
『大変でしたね。
調子はどうですか?』
涙が止まらなかった。
『食べ物を体に入れるのが怖いです』
緊急手術前、最後に食べた、ふりかけをかけたお粥。
お腹が痛くてどうしようもなかったけど、必死で食べた。
海苔や黒胡麻の黒いツブツブの映像が頭に浮かび、食事を摂ることができない。
そのツブツブが、腸に空いた穴から腹腔内に広がってしまった、とイメージしてしまう。
あの2日間の、電気が走るような痛みの記憶が消えない。
腹腔内は洗浄され、もう穴も塞がっている。
田部先生も、食べても問題ないと言ってくれている。
『本当に食べても大丈夫ですか?』
一度聞いたが、聞き方が悪かったのか、ちょっとピリッとしたので、もう聞けない。
信用していないわけではない。
ただただ、怖いだけだった。
しばらくして木田先生が来た。
食べられない理由を、つい話してしまった。
何であの時、食べてしまったのだろう。
あんなに痛かったのに、なぜ無理矢理食べてしまったのか。
何てことをしてしまったのか。
食べてしまったせいで、たくさんの人に迷惑をかけてしまった。
私『私が悪いんです。
すみません』
木田先生『藤井さんは出された物を食べただけです。
食事を出していたのは病院側ですので
藤井さんは何も悪くないです。
すみません』
先生を責めるつもりはなかったのに。
もっと早いタイミングで、怒りや悲しみを吐き出すことができていたら、少しは気持ちが楽になっていただろうか。
その時は、自分を責めることでしか、心の平穏を保てなかった。