部屋でぼんやりしてしたら、看護師長が来た。
看護師長はいつも、ベッドの横にかがんで、目線を合わせてくれる。
いつもそうだ。
口調も穏やかで優しい。
『アナフィラキシーショックが起きた患者さんを見たのは、長い看護師人生で、藤井さんが2人目です。
大変でしたね。
手術中でよかったですね』
頻繁に起きることではないようだ。
本心では、起きてしまったことがアンラッキーだと思っているが、死ななかったことがラッキーだったと考えるべきなのだろう。
『はい。
生きていて良かったです。
助けていただいて感謝しています』
いつも通り、100点の回答だったと思う。
しばらくして研修医の山中先生が来た。
すぐに、検温などのルーティーンワークをしに、看護師も来た。
しばらく談笑した。
私『山中先生も手術室にいらっしゃったんですか?
見ましたか?』
先生『はい。
やばかったです。
一気に全身に発疹が広がって、どんどん発疹が繋がって、赤く体が腫れていったんですよ。
血圧が急激に低下して、手術室は、やばいやばいってなりました』
先生は興奮気味に話してくれた。
私は絶句した。
先生『意識があったら、痒すぎて我慢できなかったと思いますよ。
ほんと、危なかったです』
看護師『先生、縁起でもないこと言わないでください』
私は、言葉は見つからなかったが、笑っていたと思う。
そうだったのか。
2人が部屋を去った後も、話の余韻が残っていた。
怖くて、身震いした。
でも、どんな状況だったのか知ることができてよかった。
明るくて元気で正直な先生の話が聞けてよかった。