まず、「人新世(ひとしんせい)」ってなんだということから始まる。分からない。で、調べてみると、

 

 

 地質学の区分として「完新世」に次ぐ時代として現代が振り分けられたのが「人新世」で20世紀の半ばから始まるとされた。核爆弾の開発で、放射性同位元素の増加やマイクロプラスチックの増加、その他、人類によっておこされた地球環境の激変があり、それが地質に刻まれるというのだ。資本主義によってもたらされた結果なので人新世よりも資本新世が提起されたりもしている。 

 タイトルからして新しい概念で、本文には、新たな用語が次々に現れる。SDGsなど忘れてしまっていた。国連が掲げた17の持続可能な開発目標。それを「大衆のアヘン」であると言う。それで気候変動が止められるものではない、アリバイ証明のようなものであるという話から始まる。

 

 

 ガソリン代の値上げに端を発した黄色いベスト運動。その後どういう運動に変化したかも書かれている。300ページを超える本なのでちょっと息切れ。マルクスが晩年、資本主義の自然破壊を憂えていたことから発して、地球を救うための脱成長コミュニズムの斎藤氏の具体的な提案もなされている。

 書店で見つけた関連図書。『史的システムとしての資本主義』ウオーラースティン著  川北稔訳 岩波文庫 2022。政治と結びつかない限り、資本主義は不可能。1995年の版をもとにしていて、斎藤氏が『人新世の…』で用いているさまざまな概念もその頃には了解事項だった。マルクスも資本主義の解釈は時代によって変化することを分かっていたと書かれている。