その日の食事はにぎやかなものとなった。
宿は貸切のような物であり、
民宿の食堂に全員が集まっていた。
テーブルには、少し早い気もするが鍋なども並び、
思った以上に豪勢なものだった。
「ビールだめな人いますか~」
とリサが皆に尋ねた。
「いないよね」と榊。
皆がうなずいていた。
「じゃ、乾杯しましょうか。」とリサ。
「須藤先生、乾杯の一言」とリサが先生に振った。
須藤先生は手馴れたもので、
「じゃ、謙君お疲れ様。前祝ということで、乾杯!」
と、あっさり締めくくり、
「乾杯!」と皆、声を上げて食事&飲み会が始まった。
謙は、昼間のダイビングのせいか、
ビールが美味しく感じていた。
午前のトラブルを乗り越えた充実感もあった。
色々と慣れないことを行ったということや、
いつもとは違う環境におかれたこともあり、
疲れもあった。
酔いの回りも早く、気持ちよくなっていた。
一日の出来事をうまくリサが笑いに変えてくれたことも、
雰囲気を楽しめている一因でもあった。
また、榊はともかく、山口に佐藤も飲むのが好きなようで、
また陽気な酒であった。
当然、ユキもその中に加わっており、
謙はところどころユキを見ていた。
ただ、中々話しかけることができず、
その分、ビールに口をつけていた。
いい気持ちの中、幸せな気分を味わっていた。
「.謙、大丈夫?」と、ユキがたずねてきた。
いつの間にか隣にいた。
謙はいつの間にか、うとうとしていた。
それを見たユキが心配し、
そばに来たのだった。
「大丈夫です。」
と謙。
周りを見渡した。
食事はすっかり終わっていた。
「つかれたでしょ。大変だったもんね。」
とユキ。
「いや、大丈夫です。」
「少し、風にでも当たる?」とユキが言った。
(続)