最初は左目の白内障手術、その一週間後に右目の白内障+硝子体手術をする事になった。

手術の三日前からコンタクトは装用中止、手術前の目薬の点眼開始である。

ハードコンタクトの場合は手術の7日前から装用中止となっている。

白内障の場合は手術当日食事は来院二時間前からNG、水分制限はなしとある。

私の来院時間は11時45分となっている。

朝食は普段通り食べてもいいのだが、しっかりと食べる気にはなれなくてヨーグルト一個のみの朝食となる。

家事を済ませて、まだ時間の余裕はあるけれどなんとなく落ち着かない。

病院からもらった手術計画表には

1.時計やアクセサリーは外す もともとつけていない、問題なし

2.お化粧はしない もともと素顔に近い、問題なし

3.乗り物の運転禁止 徒歩10分で行ける、問題なし

4.身体を締め付けない服着用 めっきり緩んだ身体なのでもともと常にゆったりした服装 問題なし

と、まったく普段どおりに病院へ向かう。

 

手術フロアの待合室には私を含め10名程の患者がいた。私の手術は三番目とのこと。

まず携帯、眼鏡を含む荷物すべてをロッカーに入れる。

血圧をチェック(160あってビックリ、いつも110くらいなのに)、看護師さんが順繰りに皆に目薬を点眼して廻る。

途中で半数の人達が検査のために別室に移動。多分残っているのが白内障の手術の人達なのだろう。

名前を呼ばれて待合室奥のドアを入ると、術前術後の待機室となっていた。

手術中伝えたいことがある場合は、絶対に手を出さずに必ず声がけをするように注意される。

手術を終えた人が出てきてすぐに待合室へと移動していたので、白内障は術後の待機はないらしい。

順番が来て手術室へ入る。

手術台に横になると緑色のカバーで上から覆われた。これが結構重く、目の周りだけ穴があいている。

カバーの重みのおかげで、剥き出し感が薄れて少しほっとする。まな板の上に乗ったことも、鯉になったこともないけれど「まな板の上の鯉」とは言い得て妙だとつくづく思った。

経験者のブログの通り、薬で瞳孔が開いている上にライトを浴びて何もわからない状態である。

まぶたが閉じないように固定されているようだ、麻酔の注射もよくわからないうちに処置された。手術をしない方の右目は開けておいて下さいと言われるが、かなり意識しないとつい閉じてしまいそうになる。

三つの光の真ん中を見るように指示されそれを追うのと右目を開けるのに必死である。何だか身体が手術台の上ではなく、深い海の底にいて一生懸命太陽の光を追いかけているような錯覚がした。

目に何かが入ってきて「レンズ?」と思った瞬間に周囲が明るくなる。

そうして手術は無事に終了。覆われていたカバーを取る時はしっかり顔に貼り付けられていたらしく地味に痛かった。

片目が眼帯なので距離感がつかめない。「手術した左目は閉じていた方がいいんですか?」と聞いてみたら「開けていいですよ」と言われる。

時間は二時過ぎ。手術自体はよく言われているように多分20分位だったと思われる。

目薬は出ないの?と思ったが、眼帯が取れるのが明日なので今日は必要ないのだ。

眼帯の下には金属の保護が入っているので厚みがあって眼鏡がかけられないが、しっかりと目が守られている安心感がある。

帰宅後も目に違和感はあるものの特に痛みはない。裸眼ではあまりに支障があるので、半分空中に浮いた状態で眼鏡をかけ、洗濯物を取り込み、夕食は作り置きのおかずで済ます。しばらくは入浴、洗顔ができない。

就寝時に無意識に眼帯を外したりしないか少しヒヤヒヤした。眼帯を外した時にどんな風に見えるんだろうと少し心配になる。

 

翌朝、再び病院へ。この日は眼帯を外して、先生が術後の目の状態を確認するだけ。特に検査は無し。

眼帯が取れた感動の一瞬。

「明るい!!」手術していない右目と比べるとまったく色味が違って見える。

見え方は?「エーッ‼」単焦点で中間を選んだ私。遠くがぼんやりとしているのは想定済。手元が老眼で見えづらいのも仕方ない。いや中間はよく見える筈、と思いきやどこもかしこも度のあっていない眼鏡のような見え方なのである。先生にそう伝えると「四日後にもう一度見ましょう」とのこと。

もしかしたら少しずつ目がレンズに慣れてくればもう少しよく見えるようになるかも…と願いつつその夜は就寝。

朝起きてみると、昨日に比べるとかなりクリアに見えるようになってきた。

前日はぼやけて見えていたテレビの字幕や比較的近い距離のパソコン等の細かい字もキレイに見えるようになっていた。

手元近くはさすがに見づらいけれど、印象としては右目はコンタクトを入れていた時と同じ様に見えている。

 

次は右目の白内障と硝子体手術だ。

先生の「左目と違ってすぐに見えるようにはならないと思って下さい。場合によっては手術前より見え方が悪くなるかもしれません」という言葉を反芻しつつ、再び「まな板の上の鯉」となる日を待つことに。

 

 ひと休み