少しご無沙汰していました。
仕事が多忙なところに、卵巣を摘出したことによる卵巣欠落症状(更年期症状のようなもの)が年明けからひどくなり、しばらく心身ともに不安定な毎日でした。
(この辺りはまたの機会に書きたいと思います)
皆様のブログにお邪魔するのがやっと、というところでしたが、こういう時こそ、フラワーセラピー
美しいお花と、優しい香りに癒されて、ゆったり過ごすことでなんとか復調するといいなぁと思っています。
私の好きなラブリー・ピンク
薔薇、チューリップ、ガーベラ、スイートピー
バレンタイン・デーが近いので、LOVEが伝わるといいなぁ
さて、今回ご紹介したいのはこの本↓↓↓
私と同世代の男女が再会したのは病院。
そして女性の方は癌を患っていて。
朝倉かすみさんの「平場の月」
山本周五郎賞受賞作です。
(以下、ネタバレ含みます。)
女性は大腸がんを患っています。
どれほど深刻な状況なのか、男性は知らない。
女性(須藤)は離婚歴があり独身。
仕事を終えて自販機でミルクコーヒーを買って、歩いて帰路につく際、甘みが喉を通り、風を感じ、どうってことない景色を見ながら
「ちょうどよくしあわせなんだよ」
と言う。
ちょうどよく幸せ。
こんな風に感じられるの、なんか素敵だな、って思いました。
今ある幸せに目をむける。
ちょうどよく幸せな時間がずっと続けばいい…。
でも、そんなところに、学生時代好きだった男性(青砥)と再会して、こんな提案を。
「どうってことない話をして、そのとき、その場しのぎでも『ちょうどよくしあわせ』になって、おたがいの屈託をこっそり逃がすやつ。
毎日会うんじゃなくて、各自の屈託がパンパンになりそうになったら連絡を取って、『やーやーどーもどーも』って寄り合って、『イヤ、しかしなんだねぇ』みたいな感じで無駄話をする会を結成したいのだけれども」
この提案は受け入れられ、それどころか、頻繁に会ったり、一緒に暮らしたりするようになるのだけれど。
こういう「会」素敵だなって思っちゃいました。
おひとり様の癌サバイバーだと特にね。
何もプロダクティブな関係ではないように見えると思うのだけれど、二人が過ごすのはとっても大切な時間なのよ。
青砥も須藤も離婚歴があるのだけれど、お互いのそんなことも告白し合う。
「だれかに話すのは初めてだったけど、ひとごとみたいだった」
「だれかに話しておきたかった、って感覚。
なんだろうね、この告白欲」
ネガティブなことも、改めて話してみることで、客観視できるというか、整理ができるんだろうか。
私は自分の病気のことを公表していないけど、
「だれかに話しておきたかった」という感覚は分かる気がする。
二人は中学時代の同級生だが、当時はお互いのあれこれをよく知っていたわけでも、多く言葉を交わしたわけでもない。
50歳になって、こんな風に過ごすようになったのだけど、お互いを信頼し、愛おしく想う気持ちは、とても温かいのです。
二人はそれぞれの人生の中で、傍から見れば”失敗”をしてきているのだけど。
彼女のいわゆる”失敗”と思われる過去を耳にしても、
青砥の内側で、須藤は損なわれなかった。
どんな話を聞いても、そこにどんな須藤があらわれても、損なわれないと思った。
どんな生活を送っていても、青砥のなかで須藤の値段は下がらない。
この辺りは若いカップルとは違うのだと思う。
お互い、人生を歩んできて、理解もできるし、許すこともできる。
こんな風に受容してもらえたら、どれほど安心できるかなぁ、と思います。
素敵な二人なんですよね。
癌サバイバーである自分と彼女(須藤)を重ねたり、大腸がん手術を終え、ストーマ生活を余儀なくされた須藤と、膀胱癌手術をした私の父を重ねたり。そんな風に読んでいました。
続きはまた次回書きたいと思います。
よろしければ、またお付き合いくださいね!
ちょっと早いですが
Happy Valentine’s Day