山田のブログ

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 「寝る子は育つ」という言葉のとおり、睡眠と健康、学業との間には因果関係があると考えられている。私の個人的な経験と照らしあわせてみても、良い睡眠がとれている時は、気力がみなぎっており、日中の学習のパファーマンスも高いように感じる。
 以下、簡単に睡眠に関する研究の歴史を振り返り、睡眠と健康、学業との因果関係を分析し、それを踏まえた上で、今後、KBSや社会に出てからの生活において、どういった睡眠スタイルをとるべきかについて考察する。

睡眠に関する研究
 睡眠に関する研究の歴史について簡単に述べる。
 睡眠に関する科学的研究的な取り組みは20世紀初頭からなされてきた。1920年代には、ドイツの神経科医が脳波の記録に成功し、睡眠を計量することが可能になった。1950年代には、睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠があることが解明された。以後、双方を組み合わせて、定量、定性的に測定する技術が開発された。その成果を受けて、1960-1970年代にかけて、科学的な解明が進む。
 80年代には、アメリカで、ディメント教授を所長とするスタンフォオード大学の睡眠障害研究センターが中心となって、「ウェイクアップアメリカ」という運動がはじまった。アメリカ人は、慢性的な睡眠不足により、多くの交通事故、医療事故、作業事故が発生しており、睡眠の問題は、単に医学、医療上の問題であるばかりか、社会的、経済的問題であると捉えられるようになった。実際に、アラスカの原油輸出事故やロシアのチェルノブイリ原発事故も、作業者の睡眠障害の影響が指摘されている。
 このような経緯から、アメリカでは、睡眠に関する研究に多大な支援がなされるようになった。それに比べて日本はかなり遅れている状況だという。現に、アメリカには、睡眠の専門医が数千人おり、全米睡眠教会が認定した睡眠障害クリニックは400を超える。一方、日本では、1991年北海道の小樽に睡眠の専門医院(ウェルネス望洋台医)が初めてでき、それから少しずつ増えたが、睡眠障害を病気と捉える文化がないことも影響し、その数は限られている。マクロの視点で考えると、睡眠時間は、労働生産性にダイレクトに影響をおよぼすものであり、経済成長の視点からも、さらなる研究への投資、専門医の育成が不可欠であると考えられる。

睡眠と健康の関係
 次に、睡眠と健康の関係性について記述する。
 名古屋大大学院の玉腰暁子助教授(予防医学)らの共同研究グループが、10年間に渡って、日本人11万人を調査したところ、7時間(6・5-7・4時間)の人の死亡率が最も低く、それより長くても、短くても死亡率が高くなることがわかった(図1参照)。睡眠時間が短くなると、死亡リスクが高まるという結果は、睡眠不足だと循環器や免疫機能、感情面で影響が出てくると考えることができ、感覚としてもわかるが、7時間以上だと逆にリスクが高まる理由は定かではないという。
 推測するに、健康度は、睡眠だけでなく、食事や運動、生活習慣などの最適なバランスの上で測られる。「睡眠の効果=時間×質」と捉えると、長時間睡眠は、7時間睡眠にくらべ、睡眠の質が低くなる。加えて、日中の活動量も減る、つまり運動量が減ることに直結する。さらに、日中の活動量が減る分、日々のアウトプットの総量も減る。そのことで、長期的に考えると社会的な成功度にも影響し、幸福度やストレス度で見た時に、マイナスの影響を与えているのではないかと考える。

図1 

※ http://www.47news.jp/feature/medical/news/0810suimin.html

睡眠と学業成績の関係
睡眠と健康には、明確な相関関係があることがわかったが、さらに、睡眠が学業成績に及ぼす影響について考える。
図2のアメリカの高校生における成績と睡眠習慣の関係についてのデータをみると、就寝時間の遅い子供ほど、また、睡眠時間の短い子供ほど、成績が悪いことがわかる。

図2

※ 引用(滋賀医科大学睡眠額講座:睡眠環境)

また、就寝時刻、仮眠の頻度と日中のイライラとの関係(図3)、就寝時刻、仮眠の頻度と日中の眠気との関係(図4)をみてみても、中学生、高校生共に、就寝時刻が早く(睡眠時間も長いと考えられる)、仮眠をとらないグループが、日中のイライラ度が少なく、眠気も感じていないことがわかる。
 一般的に、短い仮眠は、仕事のパフォーマンスを上げると言われている。私もその説を信じて、睡眠不足で眠たい時などは、短い仮眠をとったりする。しかしながら、この調査結果からは、仮眠をとらないほうが、イライラ度も日中の眠気も少ないことがわかった。つまり、複数回に分けて睡眠をとり、合計として睡眠不足を補うという戦略は、必ずしも有効ではないのだ。
図3 就寝時刻、仮眠の頻度と日中のイライラとの関係

図4 就寝時刻、仮眠の頻度と日中の眠気との関係



最適な睡眠時間について

 以上、睡眠と健康、学業成績との関係を調べた結果わかったこととして、第一に、睡眠は短すぎても長すぎても健康によくない、第二に、睡眠時間が長く、就寝時間が早い方が、成績が良い、第三に、仮眠は夜間の睡眠不足を補って、日中のストレスや眠気を軽減するどころか、悪化させていることが挙げられる。
 この結果を解釈し、今後の私のパファーマンスや生産性の観点で睡眠戦略を練りたい。 まずは、自分にとっての最適な睡眠時間を認識することが必要だ。これは経験からの判断だが、だいたい6-7時間程度だと考えている。最も死亡率の低い7時間という基準にも合致しているので、なるべく、そのような睡眠を取れるよう、日々のタスクを前倒しでこなし、睡眠時間を確保するようにしたい。最近では、便利なことに、iPhoneなどで、睡眠中の動きを感知することで、睡眠サイクルや熟睡度を表示してくれるアプリ(図5)も存在する。レム睡眠と@ノンレム睡眠の周期の1.5時間の倍数で眠るが良いという話を聞くこともあるが、そのようなテクノロジーを使うことで、客観的、主観的に自分の睡眠パターンの認識を行いたい。
 また就寝時間と仮眠についてであるが、特にKBSに入学してからは、慢性的な睡眠不足のため、その不足を仮眠で補うことが多々ある。しかしながら、それは戦略としては必ずしも有効でないことがわかった。早めに就寝し、日中の集中力を上げるほうが、トータルで見た場合に、良い成果があげられることが考えられる。夜更かしをして、睡魔との戦いで、非常に生産性が悪くなり、睡眠不足によって、日中まで引きずり、ウトウトしてしまうという睡眠における負のスパイラルを脱し、メリハリをつけて、早寝早起きを徹底し、活動の質、睡眠の質の双方を上げるという正のスパイラルを生み出すことが大切なのだ。
 生物には、サーカディアンリズムというものがあり、太陽の周期に合わせて、生物のリズムというものがDNAといてプラグラムされている。結局のところ、生物的に、当たり前のことをするのが、自ずと、最も高いパファーマンスを発揮することに繋がるのだ。
 今回の分析を契機に、睡眠は、人生の1/4—1/3程度を占める。良い睡眠をとり、毎日を健康に暮らし、かつ生産性をあげることで、QOLを向上させるよう努めたい。



図5 睡眠パターン認識アプリ


参考

・眠りの科学とその応用Ⅱ (2011. シーエムシー出版)

・ 育つ・学ぶ・癒す 脳図鑑21 (2001. 工作舎)

・医療法人社団ウェルネス望洋台医院
http://sleepdoc.or.jp/

・健康的な睡眠時間・・・世代や個人差を知ることが大切!
http://nemuri-lab.jp/story/point/616/

・睡眠習慣と学業成績の関係
http://blogs.yahoo.co.jp/ken111474/5781780.html