こんばんわ![]()
最近では珍しく続けて更新。お休みしていた間のハチャメチャはまた今度で、
書き溜めていた短編を更新していきま~す![]()
「夢物語」
ある主婦の場合
町内会の旅行で出かけた温泉町。夕食の時間には早かったので近くを散歩していた。そこで、小さな稲荷神社を見つけた。
「あらっ! こんな目立たない場所にこんな可愛いおキツネ様がいるのね」
主婦はバックの中から昼食の残りのいなり寿司を一つキツネの前に置いた。
「食べ残しで悪いけど、一応、油揚げだから。これで我慢してね」
と侘びを入れ、手を合わせて祈った。
キツネは尻尾を振りながら答えた。
「承知」
尻尾を降る音は捨てられた紙くずが風に吹かれてカサカサという音と重なり、主婦はキツネが喜んだことには気づかなかった。
家に戻った主婦は家族のために家事をこなす日々。住んでいるのは会社の社宅団地。朝、洗濯や掃除を済ませ、夕方、社宅から自転車で5分のスーパーへ買い物に出かけた。その帰り、
「サマージャンボ宝くじ、本日が最終日です。前後賞合わせて3億円ですよ~、買わなきゃ当りません。残り枚数も少なくなっています。まだの方はこの売り場でお買い求め下さい」
との声が聞こえた。普段なら宝くじになんて関心がなかった。「どうせ当たらないんだから」と思っていた。でも、今日は何故か「買わなきゃ」と心が騒いだ。勇んで窓口へ行った。
「バラで10枚下さい」
連番で買って、もしも当たれば3億円だが、3億も当たったら人生が狂いそうな気がしてバラで買った欲のない主婦だった。
そして、数日後、宝くじを買ったことなどすっかり忘れて新聞を読んでいた主婦。ページをめくり、サマージャンボ宝くじの当選発表の記事が目に飛び込んできてやっと思い出した。
「そうだ。珍しく宝くじを買ったのよね。すっかり忘れていたわ。確か財布の中に入れていたわよね」
独り言をブツブツ言いながら財布を取りに行き、当選番号と照らし合わせてみた。主婦のくじを持つ手が小刻みに震えだした。声も震えながら叫んだ。
「当たった! 嘘! 信じられない! 」
そして、電話へ走り、震える手で受話器を握り締め夫の携帯番号を押した。
こういう時に限ってなかなか電話に出てくれない。イライラしながら呼び出し音を聞いていた。10数回目のベルを聞いた後、やっと夫の不機嫌な声が受話器から聞こえた。
「何だ? 仕事中だぞ。急用か? 」
鼻息荒く主婦はただ一言答えた。
「当たったの」
「食い物にでも当たったのか? 」
状況の分からない夫の見当外れの問いは当然である。それだけ平凡な家庭なのだ。
「何言っているの。宝くじよ。サマージャンボが当たったの」
主婦は興奮して声高に言った。妻の言葉が信じられない夫は、
「お前、ふざけるのもいい加減にしろよ。忙しいから切るぞ」
夫が本当に電話を切りそうな勢いだったので主婦は慌てて早口で言った。
「本当に当たったの。私だって冗談や悪ふざけでわざわざ電話なんてしないわ」
その妻の言葉に夫は半信半疑なgらも聞いてみた。
「本当だな? で? いくら当たったんだ? まさか3億か? 」
主婦は電話なのにおもいっきり首を振りながら答えた。
「まさか! バラで買ったんだもの」
「じゃ、一体、いくら当たったんだ? 早く言えよ」
とイライラした口調で問う夫。
「1千万円よ! これでマンションも夢じゃないわよ。それだけ頭金を入れればローンも払っていけるんじゃないかしら? 」
夫は当選金額に多少ガッカリしたが、それでも大金だ。気を取り直して喜んだ。
「そうだな。夢じゃないな。よし! 今日はお祝いだ。早く帰るからビールを用意していてくれよ」
「そうよね。お祝いよね。私も今日は飲もう。子供たちも自分の部屋が出来てきっと大喜びするわよ」
キツネが細い目を更に細めて微笑んだ。
「お供えのいなり寿司のお返しじゃ。たまには我も良い事をせねばな。しかし、家なんて雨風しのげればよいのに。ローンを払うために今以上に働くとは人間は辛いの。我は気楽なキツネで良かった」
まだまだ、キツネの夢物語は続きます。次回の更新もよろしく~![]()
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仕事が落ち着いたら皆様のところへもお邪魔させていただきますね。おやすみなさ~い。