「あ~ぁ、だめじゃないの!」 | kyottides的 喜怒哀楽

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一年余りにわたって 開店休業状態 でしたが、そろそろ、また、あれやこれやと綴ってみようかなと思い始めています。よろしくお願いします。

 前にも触れた役者なガキ。仮にクリ坊とでも名付けておきましょう。4歳の彼は最近、周りの大人に対して、上から目線の言動が目立つようになりました。

 かよっている幼稚園での話。
 昼食の時間に、子供たちの様子を見まわりながら、先生が何気なしに大皿に山盛りのおかずを指で一つまみして、ほおばった瞬間、
 「あっ! だめじゃないのっ!! ちゃんとお箸を使いなさいっ!!!」
と、クリ坊の剣幕に、先生も思わず、
 「ごっ、ごめんなさい・・・」

 おえかきの時間などに飽きると、園長先生の部屋に行って、
 「せんせー、遊びに行こうよー」と、園外に誘いに行くそうです。園長先生も面白がって付き合ってあげると、手をつないで近くの野原に出かけて行って、虫取りに興じるらしい。

 幼稚園から帰ると、隣にある、うちの会社に遊びに来ます。
 会社のお客さんが
 「ぼく、かわいいわねぇ」
などと言おうものなら、即座に反論。
 「かわいい、じゃないのっ!! ボク、かっこいいのっ!!」
  「あらまぁ、ごめんなさいねっ」
と、会社中で、大笑い。

 お客さんたちに対して「おばさん、おばさん」と言うから、みんなも
 「おばさんじゃないの、おねえさんよっ」
すると、わざとキョロキョロして見せて、
 「おねえさん、どこ???」
これには負けて、みんな、腹を抱えて大笑いしています。

 事務室の隣のパソコン教室がお気に入りで、パソコンをつけてとせがみます。遊んでいるうちに、なんとなく使い方を覚えて、子供用のお絵描きソフトのアイコンをクリックしたり、動き出したソフトでベタベタとスタンプ機能を使ったり、線をひいたり、色をつけたり、画面に鮮やかな色や模様が映し出されるのを興奮気味に楽しんでいます。
 母親が連れ戻しに来て、
 「はい、もう、お時間よ。きょうはここまで、ね。続きは、おうちのパソコンでやろうね」
 「いやっ、いやだよぉ、もっとやりたいっ」
と抵抗するのですが、母親は、子供の駄々には慣れたもので、さっさと、パソコンのスイッチを切ってしまうし、部屋から連れ出そうとします。

 ここで、クリ坊は暴れだすのですが、母親の体力にはかなわない。となりの事務室に逃げ込んで、社長のよっちゃんを見つけると、いきなり、大泣きして、抱きつくのです。
 「よっちゃあーーーん・・・、ママがいじめるのっ」
事情を知らない よっちゃんは、
 「あらあら、かわいそうに・・・。なにがあったの?」
 「ママが、ママがぁぁぁ」と泣きじゃくる。
 母親は、しらけきって、 "また始まった・・・" と、様子をながめるだけです。

 この作戦は、一度目は成功したのですが、わたしなりに、よっちゃんにアドバイスしました。母親と子供のことだったら、どんな場合でも母親に味方してあげよう、と。
 「あのガキ、どういうわけか、相当の役者だし、ね。」

 数日後、似たようなことがありました。まだパソコンで遊んでいたいクリ坊は、事務室に駆け込んできて、よっちゃんにすがりつきます。今度は、よっちゃんも、
 「はい、はい。また、わがまま、言ってんの?」
と、抱き返してあげようとはしません。
 作戦失敗だと分かると、今度は、彼は、いよいよ、大の字になって寝転がって、ジタバタと暴れだしたのでした。
 そこで効いたのが、
 「あー、はずかしいっ」「あー、かっこ悪い」「かっこ悪いねぇ、クリ坊っ」
と、はやしたてることでした。
 カッコいいつもりの本人にとっては、これは、最大の恥のようです。パタっと泣きやんで、ばつが悪そうに起き上って、うつむいて背中を向けて、窓際にあった置物とか鉢植えとかを指でつつきに行ったかと思うと、突然振り返って、
 「ねえ、このお花、ちゃんと、水あげてるの?」
 さっきまでの、ジタバタ騒ぎなどなかったかのように、ケロっとしています。そのまま、母親に手をひかれて、素直に帰って行きました。

 大人を相手に、ものおじせずに対等なつもりになっているし、場合によっては、上から目線で指図するクリ坊。
 パソコンのレッスン中にも「なにやってんの?」とか言いながら教室にスキップしながら入ってきて、レッスン中の小学生のお兄さんの頭を突然、なぜたりします。三つも四つも下の子から頭をなぜられるなんて、ありえなかった小学生が呆然とするくらい、クリ坊は、カッコいい兄貴のつもりになっています。
 わたし自身も、目の前を横切るクリ坊から、おなかを、ポン、ポン、ポンっと、三回、軽くタッチされました。
 「なっ、なんだよ、今の」
 「太鼓腹のおなかが、かわいかったんじゃないの?あいさつ代わりよ」
と、また、元・おねえさんたちの爆笑。

 そんなわけで、彼は、思い切り伸び伸びと毎日を過ごしています。
 とにかくエネルギッシュなので、彼は、母親に甘えてすがりつく子供ではなく、家に連れ戻そうとする母親からの解放を目指して闘い続ける "自由の戦士" となって目を輝かせています。