時代小説家こそ、「ウソ」の達人だ! | 感動!トラベル研究所

感動!トラベル研究所

“一生に一度”を旅でデザインする感動トラベルプランナー須田くにひこです。

その言葉を聞いた瞬間の驚きは、ここ最近感じたことがないくらいのものでした。

 

「蔦屋 重三郎(つたや じゅうざぶろう)って、実際そんな人じゃなかったと思うんですよね」

 

それは今から2ヶ月ほど前、江戸東京博物館を訪れた時のことです。江戸東京博物館は江戸から現代の東京へと変わり行く歴史を分かりやすく展示している博物館ですが、今年4月にリニューアルオープンしたこともあり、誘い合って数人で訪れました。

 

博物館を見学する中、思わず私の足が止まった展示がありました。それは「蔦屋重三郎」と、それに関連したものでした。

 

蔦屋重三郎は江戸時代の出版人で、売れっ子の作家や絵師を集めてヒット作を連発させた、天才的なプロデューサーとしても知られる人物です。

 

私がこの人物を知るきっかけになったのが、谷津矢車さんの小説『蔦屋』でした。飄々としながらも内に熱い想いを秘め、世の中に立ち向かって行く姿は清々しく感じられ、今でも読み返すくらいに大好きな小説です。

 

私にとって愛着のある人物ですので、その展示には思わず足が止まったのです。

 

しかし、一緒に訪れたある方からのこの一言は蔦屋重三郎に対する私の想いを粉々に打ち砕くものでした。しかも、さらに続く蔦屋の「実像」の話は、小説のイメージとは異なるものだったのです。

 

ただただ、驚くばかりの私でしたがそれが理由ではありません。何より驚かされたのは、その話しをしてくれたある方です。

 

その話しをしてくれた方こそ『蔦屋』の作者、谷津矢車さんご本人だったからです。

 

それは驚きと同時に、谷津さんのことをとてつもない「ウソ」の達人と思わせるには十分なものでした。

 

**************

 

時代小説とは思えば不思議な小説です。

 

特に実在の人物や、実際に起こった出来事を題材にしたものであれば、基本的には結末がすでにわかっている話です。つまり「ネタバレ」しているのです。

 

それでもなお、織田信長や徳川家康、坂本竜馬といった人物、本能寺の変や忠臣蔵、明治維新といった出来事など、同じ人物や出来事を描いた時代小説が今も生まれ続けています。

 

なぜ同じ内容の話しが繰り返し小説として描かれ続けているのか。それは過去に幾度となく描かれてきた人物や時代であっても、時代小説家ごとに「異なる話」になっているからです。

 

もちろん「事実」がありますから「結末」は同じです。しかし、歴史上の人物や出来事は事実として残りますが、実際に交わされた会話や出来事にいたるまでのシチュエーションの積み重ねは残ることはほとんどありません。

 

時代小説家たちは残された史料を丁寧に分析した上で独自の解釈を行い、人物の設定や出来事に至るまでのシチュエーションを創作することでストーリーを紡ぎだしているのです。同じ題材であっても「異なる話」になります。

 

そして、それこそが時代小説家の腕の見せ所となっています。

 

特に一流の時代小説家たちは、そこに描かれている会話やシチュエーションがあたかも実際に起こっていたかのようにストーリーを作り上げています。結末が分かっていながらも読み手をハラハラドキドキさせ、時に涙を、また感動を与えながらも最後まで話に引き込み、読ませる。言わば、とてつもなく極上の「ウソ」の達人です。

 

そして若手ながらも時代小説家として谷津矢車さんはすでに、とてつもない極上の「ウソ」の達人となっています。

 

蔦屋重三郎だけに限らず狩野永徳や歌川芳藤などなど、谷津さんの小説に登場する人物たちは物語の中で光り輝いています。谷津さんの極上の「ウソ」によって実像よりもさらに魅力的になっているはずなのですが、そこは流石に「ウソ」の達人。「ウソ」と思わせない巧みなストーリー作りで、物語の最後まで一気に私たちを導いてしまうのです。

 

そんな時代小説家がいかに実像から「ウソ」を創り上げて行くのか、実際に話を聞けるイベントがあります。

 

121()、「ウソ」の達人、谷津矢車さんに江戸東京博物館の江戸ゾーンを解説してもらいながら見学できるのです。

 

蔦屋重三郎に限らず、江戸東京博物館には谷津さんの小説にゆかりのある展示が数多くあります。

 

江戸時代の江戸が具体的にどのような場所だったのか? 展示を解説してもらいながら具体的に分かるだけではありません。

 

時代小説家が「実像」からいかにストーリーを創り上げて行くのか、「ウソ」が出来る過程の話を聞くことが出来るのです。

 

こればかりは普段なら絶対に聞けないような話が聞ける、滅多にないチャンスです。

 

ぜひ、極上の「ウソ」がどのように産まれるのか、直に触れてみてください。

 

お申込みはコチラです↓

https://peatix.com/event/445248