友人
昔からの友人が、相談しに来た。
この歳で相談と言えば仕事か結婚の話以外はないけど、今回も結婚の方でした。
七月に結婚する友人は「これから家族を支えていく自信がない、いわゆるマリッジブルーってヤツなんじゃないか?」と言う相談をしに来た。
僕も過去に同じ道を通っただけに「何か適切なアドバイスをしてあげなければ…」と、様々な観点から物事を考えて御託を並べた。
ただこれは御託と言う表現で良いのか分からないけど、実際思い返してみればそんな不安など気が付いたら消えていたレベルだったので自分でも「分かる!分かる!そんなもんだよ」としか言えなかった。
何となく出た疑問に対して、「それはそうだ」と言う答えしか言えない自分がちょっと歯がゆかった。
本来の自分らしさと言うか、いつもの自分なら「コイツにはこう言う答えだ」「アイツにはこう言う答えだ」と物事を考えられたけど、さすがにシビアな問題なだけに僕も変に構えていたんだろうと思います。
友人が帰り際に「銭湯の所まで付き合ってくれよ」と言うので、せめてもの気持ちで快く引き受けた。
そんな帰り道、自販機の前で怪訝な表情をする僕らにいつもの時間が戻った。
「今日はアリガトな、それじゃ、またね」と言った友人に対して、
僕は素直な気持ちで「あ、さっきの事だけど、あまり考えすぎるなよ」と言った。
多分今日一時間半近く話して初めて笑ったと思う。
適当な答えだけど、一番大切な事だなと思いました。
手を振って10メートルほど歩くと、遠くで友人が僕の事を呼びました。
そして彼は僕にこう言いました。
「ゴメン!お前の家に携帯忘れたわ」
これを聞いた時、いつもの友人らしさを感じて、友達って言うのはやっぱり良いなとお互いに笑ってしまいました。
実に素敵な一日だったと思う。
それでは★★★★★
YOU-SEE