初体験ふたつ i | floatingsoulさんのブログ

初体験ふたつ i

David Lynch's"Inland Empire"

終始訳が分からない。

そんなことはどうだってよく、3時間もあって真ん中辺りで集中力が切れたものの、それでもまだ続きを見たいと思わせる力があった。

この映画いいよ、と人にすすめるようなタイプものじゃなく、あれ見た?あれどう思う?分かんないよねー、と終着のない会話を誰彼と吹っ掛けたくなった。

人の心を打つ!琴線に触れる!とかではないが、惹かれるものがあった。映画が私の中に入ってきて刺激するのではなく、3時間の長丁場を映画館にいる人みんなで泳ぎ進んでいくような感覚だった。旅しているというより、お化け屋敷の中を歩き続けているような。

映画が終わって席を立った時隣に座っていた人と目が合ったのは、進む通路が同じだったせいばかりではないだろう。

見るというより体験する映画で、いつも映画を見たあとに浸る余韻が、心――頭でなく、頭――体に在った。


ああ
David Lynchめっちゃ好き!!(笑)


これを見た映画館がホクテンザ2(天六)だったことも幸運だった。
さびれた建物の中の、経営者が気に入ったものだけ上演しているのであろう小劇場で、当然受付のもぎり番はパートのおばちゃん、トイレの入り口のドアだけ何故か押しボタン式の自動ドア、とベタとシュールが同居している。
たまたまなのか意図されたものなのか、椅子の座り心地が3時間の鑑賞にも耐えるほどだったのはありがたかった。クッションの柔らかさ・沈み具合、背もたれの角度・首の部分の膨らみの大きさ、と全てが少なくとも私の体にはちょうどよかった。ああいう椅子を見つけるのはなかなか難しい。安くても高すぎても見つかるものではない。まさか場末(といった風情)の映画館で出会うとは。あの中で私はずっと腹六分目だった=うれしかった。