トロントのある家庭にて | flighty life

トロントのある家庭にて

今日書くことは、もう1ヶ月も前のことなんだけど。


この日、あたしのもっとも親しい友人の一人で4年来の友達である

韓国人のJくんが帰国することになり、Jくんの彼女Yちゃんと3人で、

これまた4年来の友達であるイタリア人のシモーネの家に夕飯に招待された。

シモーネの家には、これまた4年来の友人Kちゃんも住んでいる。

みんなで会うのは本当に久々だし、

シモーネは2年のブランクをあけて、去年の年末にイタリアからカナダに戻ってきたばかり。

Kちゃんはずっとこの家に部屋を借りて暮らしているし、

シモーネもカナダにいるときはいつもこの家で暮らしている。


この3月半ばのトロントはまだまだ寒く、

この日もシモーネたちの住む北の住宅街にはまだたくさん雪が残っていた。

寒いね!って言いながらシモーネたちの家へJくんはビールを抱え、

あたしはシャンパンを抱えて向かった。

薄暗い住宅街を歩いていたからか、少し寂しいような、

でも夕飯に呼ばれて嬉しくてウキウキもしていた。


到着すると、シモーネ、Kちゃんに迎えられ、

家のオーナーであるイタリア人のおじいちゃんと

奥さんのフィリピン人のおばちゃんが笑顔で迎えてくれた。

このイタリア人のおじいちゃんとシモーネは、同じイタリア出身なのに、

あまり言葉が通じないらしく、普段はいつも英語で会話をするんだそう。

なんだか、とてもトロントらしい。

日本人のあたしたちにはあまり馴染みのない感覚だ。


トロントでは、この家のように空いている部屋を安く貸し出して

バスルームやキッチンをシェアする暮らしがとても一般的。

それでも、あまり家のオーナーが住んでる人と交流することってないから

この日、オーナー夫妻が食事を用意してくれていることを知ったときには驚いた。

ここはホームステイではなく、あくまで部屋を間貸ししている夫婦の家なのだ。


食事の用意ができ、みんなでカンパイした。

さらに他にもこの家に住むカナダに留学に来たばかりのブラジル人の男の子と

韓国人の男性も食卓に加わり、にぎやかになった。

おじいちゃんが作ってくれた本格イタリアンのハマグリのスパゲッティーは

とってもとってもおいしくて、うっかり写真を撮るのを忘れてしまったくらい。

奥さんが作ってくれたのはいろんなスパイスで味付けをして

ポテトなどと一緒にオーブンでグリルした料理。これまたとってもおいしかった。



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奥さんはとても物静かな人で、ニコニコみんなの会話を聞いている人。

おじいちゃんは実は喉のガンで、声があまり出ないのだけど、

みんなとワイワイ会話をしている。

ここの住人はみんな驚くくらい仲良しで、

Kちゃんとシモーネが何年もここで暮らしている理由がよくわかる。

冗談を言い合ったり、からかいあったり、笑いの耐えない家庭の食卓なんて

本当に久しぶりだったから嬉しかった。

Kちゃんはおじいちゃんをよくからかうけど、

タバコが大好きなおじいちゃんがガンだということも知っていて、

おじいちゃんがタバコを吸おうとするとタバコを取り上げて本気で怒る。

奥さんは何も言わない。ニコニコしているだけ。

シモーネは、「おじいちゃんは前は一日ニ箱くらい吸っていて、

今は一日数本楽しむだけなんだから!」

とKちゃんをたしなめる。

出身地も、言葉も違う人々が笑顔で会話して、同じ時間を過ごすって

トロントならではだなって思う。

トロントに来たばかりの頃はこういう状況がとても新鮮だったのに、

いつしかそんな感動も忘れてたのね。

愛があるなぁ!と思った夜だった。



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シモーネの家に止まっていた車。

指さして「これはひどすぎるよ!」と笑っていると、

シモーネも笑いながら「1ヶ月前は何も見えなかったよ。」と言った。



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