「も~!笑うとかひどない?助けてくれても良かったのにぃー!」
「いやいやすんません、つい、ね。」
教職の授業が終わって、お人好しさんこと山田さんと二人で教室を出た。
少し話して分かったことやけど、この山田さんはあたしの一個上で、大学3回生らしい。
本人曰く人見知りらしいんやけど、気が合うからなのか、すごく気さくで喋り安いと思った。
同じく自称人見知りのあたしでも、すぐに打ち解けられることができたんやから。
「山田さん、このあとまだ授業あります?」
「えー、ないない!」
「んじゃあ、ちょっとお茶でもして行きません?」
「なにそれナンパ?」
「え、ちゃ、ちゃいますよー!」
「うふふ、うそうそ。ええよ、ちょうどお腹空いてたとこやし!」
そんな風に自然な流れでお茶に誘えるのも、あたしにしては珍しい。
もしかしたらあたし、この人とちょっと相性いいのかもしれんな。
ぼんやりとそんなことを思いながら、大学近くのカフェに入った。
「彩ちゃん、おっとなやなぁ!」
ロイヤルミルクティーをたのんで、ストローで氷をカラカラさせる山田さんは、前に座るあたしがブラックのアイスコーヒーを飲んでるのをまじまじと見てくる。
いやいや、あなたは子どもじみ過ぎてますけど、ってツッコミは心の中にしまって、代わりにハハッて軽く笑う。
「山田さんはさぁ、」
「んー?」
ミルクティーを幸せそうに飲む山田さん。
ストローを咥えてるからか、少し上目遣いで見てくんのとか、ちょっとやめて欲しい。
「彼氏とかいないんですか?」
「あはは~、残念ながらいーひんよ。」
「じゃあ、好きな人は?」
「それもおらんー。」
「そっか。」
なんやろうな。
どこか安心してるというか、やっぱりそうやったって納得してるというか。
山田さんは、贔屓目に見ずとも可愛い人やと思う。
けど、彼氏がおるって言われたらどこかしっくりけーへんと思って。
そんで、実際にはやっぱり彼氏がおらんって言うから、あぁなんか自分の思う山田さんと本当の山田さんは結構一致してるんちゃうかって。
「ほんなら、好きやない人と付き合うってどう思います?」
「えー?そんなんありえへん。ちょっとチャラいし。」
ほら、やっぱりな。
山田さんはあたしが好きになるべきような人で、言ってしまえば理想的な人やった。
この人のことなら好きになれるんちゃうか、あたしは直感的にそう思ったんや。
「なぁ、山田さん。」
「んー?」
「また今度、どっか遊びに行きませんか?」
「ふふ、私も誘おうと思ってた」
顔を見合わせて、二人して笑った。
それから、あたしと山田さんは頻繁に連絡を取るようになった。
教職の授業が案外かぶっていたことにお互い驚きつつ、二人で講義を受けたり。
大学のカフェテリアで一緒に昼ご飯を食べたり。
一緒にいる時間が増えてわかったのが、山田さんは年上のくせしてアホっぽい。
どっちが年上なんか、たまに分からなくなる。
でも、そんなところが彼女の愛される一面やとも思うし、アホっぽいくせに授業はむちゃくちゃ真面目に聞いてるし。
そんなギャップも魅力的やとも思った。
『なぁなぁ、そろそろ遊びに行く日決めへん?』
「あー、せやなぁ。いつにしましょうか?」
休日のある日、たまたま山田さんがバイトの休憩中に暇やからって、電話する流れになって。
あたしは家の近所の本屋に立ち寄ってたとこやから、暇つぶしの相手になるのも別に平気やったし。
そこで、前に約束していたデートの日程を決めることになった。
「んー、今月中やったら26日とかどうです?」
『ちょっと待ってな、手帳確認するわ。』
電話越しに、ペラペラと紙を捲る音がする。
『あー、その日昼過ぎまでバイトやぁ!けど、夕方くらいからなら平気やで?』
「あー、それでも全然いいですよ?金曜日やし、どっかでちょっと遊んで、そのあと遅くまで飲みましょうよ。」
『あ、ほんまー?じゃあ決まりやぁ!』
「じゃあ、26日に。」
『うん!じゃ、そろそろ休憩終わるから。付き合ってくれてありがとうな?』
「いやいや全然。楽しかったですよ。」
そう言って通話を終了した。
暗くなった携帯のディスプレイに、自分のにやけたキモい顔が写って、思わず顔を元に戻す。
26日のデートで、いい感じやったら、告白しよう。
そう意気込んで本屋を出た。
「あれ?彩ちゃん?」
決心をした数十秒後に、自分の意志は面白いほど簡単に揺らいだ。
背後からかけられたその声に、心臓が全部持ってかれたんや。
「みるきー??」
「偶然やなぁ!」
みるきーは駆け寄ってきて、あたしの腕に手を絡めてくる。
「なぁなぁ彩ちゃん、この後ひま?もしよかったら、あの日のお詫びしたいんやけど。」
断る理由が見つけられなかった。
~つづく~
「いやいやすんません、つい、ね。」
教職の授業が終わって、お人好しさんこと山田さんと二人で教室を出た。
少し話して分かったことやけど、この山田さんはあたしの一個上で、大学3回生らしい。
本人曰く人見知りらしいんやけど、気が合うからなのか、すごく気さくで喋り安いと思った。
同じく自称人見知りのあたしでも、すぐに打ち解けられることができたんやから。
「山田さん、このあとまだ授業あります?」
「えー、ないない!」
「んじゃあ、ちょっとお茶でもして行きません?」
「なにそれナンパ?」
「え、ちゃ、ちゃいますよー!」
「うふふ、うそうそ。ええよ、ちょうどお腹空いてたとこやし!」
そんな風に自然な流れでお茶に誘えるのも、あたしにしては珍しい。
もしかしたらあたし、この人とちょっと相性いいのかもしれんな。
ぼんやりとそんなことを思いながら、大学近くのカフェに入った。
「彩ちゃん、おっとなやなぁ!」
ロイヤルミルクティーをたのんで、ストローで氷をカラカラさせる山田さんは、前に座るあたしがブラックのアイスコーヒーを飲んでるのをまじまじと見てくる。
いやいや、あなたは子どもじみ過ぎてますけど、ってツッコミは心の中にしまって、代わりにハハッて軽く笑う。
「山田さんはさぁ、」
「んー?」
ミルクティーを幸せそうに飲む山田さん。
ストローを咥えてるからか、少し上目遣いで見てくんのとか、ちょっとやめて欲しい。
「彼氏とかいないんですか?」
「あはは~、残念ながらいーひんよ。」
「じゃあ、好きな人は?」
「それもおらんー。」
「そっか。」
なんやろうな。
どこか安心してるというか、やっぱりそうやったって納得してるというか。
山田さんは、贔屓目に見ずとも可愛い人やと思う。
けど、彼氏がおるって言われたらどこかしっくりけーへんと思って。
そんで、実際にはやっぱり彼氏がおらんって言うから、あぁなんか自分の思う山田さんと本当の山田さんは結構一致してるんちゃうかって。
「ほんなら、好きやない人と付き合うってどう思います?」
「えー?そんなんありえへん。ちょっとチャラいし。」
ほら、やっぱりな。
山田さんはあたしが好きになるべきような人で、言ってしまえば理想的な人やった。
この人のことなら好きになれるんちゃうか、あたしは直感的にそう思ったんや。
「なぁ、山田さん。」
「んー?」
「また今度、どっか遊びに行きませんか?」
「ふふ、私も誘おうと思ってた」
顔を見合わせて、二人して笑った。
それから、あたしと山田さんは頻繁に連絡を取るようになった。
教職の授業が案外かぶっていたことにお互い驚きつつ、二人で講義を受けたり。
大学のカフェテリアで一緒に昼ご飯を食べたり。
一緒にいる時間が増えてわかったのが、山田さんは年上のくせしてアホっぽい。
どっちが年上なんか、たまに分からなくなる。
でも、そんなところが彼女の愛される一面やとも思うし、アホっぽいくせに授業はむちゃくちゃ真面目に聞いてるし。
そんなギャップも魅力的やとも思った。
『なぁなぁ、そろそろ遊びに行く日決めへん?』
「あー、せやなぁ。いつにしましょうか?」
休日のある日、たまたま山田さんがバイトの休憩中に暇やからって、電話する流れになって。
あたしは家の近所の本屋に立ち寄ってたとこやから、暇つぶしの相手になるのも別に平気やったし。
そこで、前に約束していたデートの日程を決めることになった。
「んー、今月中やったら26日とかどうです?」
『ちょっと待ってな、手帳確認するわ。』
電話越しに、ペラペラと紙を捲る音がする。
『あー、その日昼過ぎまでバイトやぁ!けど、夕方くらいからなら平気やで?』
「あー、それでも全然いいですよ?金曜日やし、どっかでちょっと遊んで、そのあと遅くまで飲みましょうよ。」
『あ、ほんまー?じゃあ決まりやぁ!』
「じゃあ、26日に。」
『うん!じゃ、そろそろ休憩終わるから。付き合ってくれてありがとうな?』
「いやいや全然。楽しかったですよ。」
そう言って通話を終了した。
暗くなった携帯のディスプレイに、自分のにやけたキモい顔が写って、思わず顔を元に戻す。
26日のデートで、いい感じやったら、告白しよう。
そう意気込んで本屋を出た。
「あれ?彩ちゃん?」
決心をした数十秒後に、自分の意志は面白いほど簡単に揺らいだ。
背後からかけられたその声に、心臓が全部持ってかれたんや。
「みるきー??」
「偶然やなぁ!」
みるきーは駆け寄ってきて、あたしの腕に手を絡めてくる。
「なぁなぁ彩ちゃん、この後ひま?もしよかったら、あの日のお詫びしたいんやけど。」
断る理由が見つけられなかった。
~つづく~