1号は、入社当時から、定時に出社したことがほとんどない。

定時とは9時30分。

典型的な夜型で、夕方の4時5時の出社は当たり前だった。


とはいえ、クライアントは10時には仕事を開始している。

当時まだインターネットやメール環境がなかったので

連絡はもっぱら電話だった。


自分が担当している仕事の情報は誰にも伝えないから

クライアントから問い合わせの電話が来ても、

他に答えられる人がいない。

クライアントは、朝一番に知りたいことがあっても

1日待ちぼうけ。


アルバイトも、その日何をするか指示をもらうのに

1日待ちぼうjけ。


クライアントからクレームが来て

1号の出社時間が問題になり

コアタイムが設定された。

クライアントからのクレームがなければ何もしなかったのか、

と思うと恐ろしい。


コアタイムというのは、

11時から15時までは会社にいなくてはいけないというもので

その部署だけに適応となった。


そうなると、11時までに出社しなければ

遅刻になる。

そこで1号が考えたのが、“図書館直行”だ。


当時はインターネットなど普及していなかったから

調べ物をするのに図書館は当たり前だった。


しかし、その手を未だに使う。


本人が申告している図書館は、区でも所蔵数が少ない小さな図書館。

そこで、海外のミュージックアーティストの調べ物をしているというのだ。

誰がそんなこと信じるだろうか。

図書館で、レディー・ガガの新曲のタイトル名を調べていたなどと

何食わぬ顔して申告する。


真実はこうだ。

① 寝坊して11時までに出社できない。

② 未だにインターネットが使えない。






2号は以前、ある電機メーカーのお客様相談室で

電話オペレータをしていた。

だから、自分はパソコンに強いと自負している。


使用しているPCは、かなり古いので処理が遅い。

時々、ハングアップしているのでなはないかと思うくらいだ。


そうすると、ITから禁止されているにもかかわらず

2号は、すぐに強制終了をしてしまう。


そうやってPCのシステムやハードディスクを

今までに3回壊している。

他のスタッフは1度も壊したことがない。


2号は、キーボードをたたくのも特徴がある。

長い爪でガチャガチャ音を立てたたく。

たたく以外にキーの上を無駄に爪でなぞる。

静かな部屋の中に、2号のキーボードをガチャガチャたたく音が響く。


よく壊す上に、ITから禁止されている

ソフトウェアのインストールも勝手にやってしまう。

特殊なソフトウェアを使用している関係上、

他のソフトウェアが干渉してはいけないので

勝手にインストールしてはいけないのだが

自分が使いたいソフトをインストールしてしまうのだ。


その一方で、他の人がインストールしようものなら

目くじら立てて上司に言いつける。

自分のことを棚に上げる、ということわざを知っているのだろうか。



分室があった約3年ほどの間が

その部署のもっとも良い時代だったと思う。


社内の事情で、分室が廃止されることになり

また一つの部屋に統合されることになったが

案の定、分室にいたスタッフから大反対が出た。


部屋の割り振りを考えた末

何とか4畳ほどのスペースが確保できることとなり

お局たちをそこへ押し込めることになった。


4畳に3人はさすがに狭く

まず侍女が音を上げた。


元々侍女は、関わらなければそう害はないので

大部屋に受け入れられた。

次に音を上げたのが、お局1号だった。

2号と二人でなければ、威力も落ちるだろうということで

仕方なく大部屋へ移動となった。


やはり、1号が来たことで部屋の雰囲気は若干変わったが

当面は敵一人。

無視していればいいことだ。


2号はどうしていたかというと、

4畳の部屋が狭いと言い出し、

一人しか使わないのに

周りの社員の猛反対を押し切り

部屋を倍の広さに広げさせたのだ。

そういう主張をすんなり受け入れてしまう上司もどうかと思う。


とにかく、人の話し声が気になって仕事に集中できないと言っていた2号は

思う存分好きなだけ、誰の目にもとまらず、

8畳もの広さを独り占めすることができたのだ。

その部屋が、半地下で、湿気が多く、ムカデが出ようと

一人を謳歌したのだ。