フリーの演技が終わり
キスクラにて


コロナ禍の中
コーチ達の身を案じ
ただひとりで10か月ぶりの試合に臨んだ彼は
キスクラにもひとり座る…


もちろんプーコーチは
いつも通り一緒だけど



お行儀よく膝を揃える(*´꒳`*)




プレイバック映像を見ながら
演技を振り返る


ひとり頷き
あるいは身体を捻り
しながら
真剣に見入り
ひとりごちる






男の子座り^ ^



汗を拭く






ソーシャルディスタンスをとったけれど落ち着かず
結局お膝の上へ…(*´︶`*)♡




アイスタット分析図を見ながら


「結構スピード出てますよね?」
「ああ…まあ。たしかに」
「よく使えてると思う」


まるで会話をしているような口調に

一瞬
ワイプ画像の外に誰か座っているのかと
思ってしまう


けれどもちろんすぐに
そんなはずはないと思い直す




やはり誰もいませんでした




その光景に
ふと思い出したことがありました





昨年4月に新しい職場に移ってから
自分ひとりで決めなくてはならないことが増え

概ねマイペースにやっているけれど
たまに緊張感漂う場面に遭遇することがあって

そんなとき自分では気づかずに

「これは…だよね?」とか

かなりはっきりと独り言を言っていたらしく 笑


そばにいた人に

「えっ…?すみません…ちょっと分かりません…」

と言われて初めて
頭の中の考えを声に出していたことに気づく…
ということがありました


人って追い込まれると
無意識に自分の中の誰かと会話しちゃうんだ…と
軽く衝撃を受け

前任の方にお会いしたとき
そのことをお話ししたら

「そういうときはね…
どんどん声に出していった方がいいのよ…」と


いつも優雅な雰囲気のその方には
あまり似合わない
「声を出す」なんて体育会系みたいな言葉に
思わず微笑んでしまったのですが

一見おっとりしてみえるけれど
じつは辣腕のこの方にも
そういう場面があったのだなあと
しみじみ思うのでした




羽生さんのキスクラでの独り言を
自分のそれと重ねることなど
到底できないけれど


長い時間
彼はこうして自分と対話しながら
独りで練習してきたのだ…


少なくとも周りに人がいてくれる
わたしとは違い

本当に独り
深夜のリンクで自分自身と向かい合い
ストイックに練習を積んできた

不安も
焦燥も
たったひとりで飲み込んで…


迷い道に入り込んでも
そこから連れ出してくれる人は誰もいない

先の見えない道を進んでいる時
そのまま進んで大丈夫 と
背中を押してくれる人もいない

雲を掴むような心許ない日々も
あっただろう


それでも足を止めることなく
日々の練習を積み重ねる


それはどれほど孤独で
強靭な精神力を要する作業だったことだろう…


その苦しみの片鱗がほんの少しだけ
心に掠めたような気がしました



そして独り言が
SP後のキスクラではあまり目立たなかったのに
FSの後あれほど雄弁だったのは

やはりFSにより多くの緊張を感じていたのと
SPでの評価も スピンとかスピンとかスピンとか
その重圧をさらに大きくしていたのではないか…と
想像してしまうのでした







やっぱりふたりはいつも一心同体╰(*´︶`*)╯♡