高校3年生になってすぐに、今の職場への実習の話がきた。

それは、大手の損害保険会社。

知的障害のある人の雇用は、今回が初めての取り組みだった。


仕事内容は事務補助。

そして、自宅から徒歩で通えるという、とても恵まれた環境だった。


実は、この実習に華子が選ばれたことにも理由があったと思う。


華子はワープロ検定準1級を持っていて、

パソコンでの作業にはある程度自信があった。


その力を活かせる実習先として、

学校から今回の職場を紹介していただいたのではないかと思う。


1学期のうちに実習に行くことが決まり、いよいよスタート。


初めて会社を訪れた日、

仕事内容の説明だけでなく、意外にも陸上のことをたくさん聞かれたそうだ。


国体のことや普段の練習について――

「我が社はスポーツを応援している会社です」

そんな言葉もあったと聞いた。


帰ってきた華子は、

「陸上のことばかり聞かれたよ」と、楽しそうに話してくれた。


その後、1回目の実習は会社・本人ともにとても良い感触で終わり、

少しずつ就労に向けた話が進んでいった。


「このまま決まるかもしれない」

そんな期待を感じられる流れだった。


ただ、2回目の実習は2学期に予定されていたものの、

大会が続き、どうしてもスケジュールが合わず、行くことができなかった。


そして3学期。

ようやく2回目の実習に行くことができた。


今回は、父親が学校の就労担当の先生と一緒に会社へ挨拶に伺い、

華子のことや陸上について、改めて話をさせていただいた。


少し空いてしまった時間を埋めるように、

また一歩、前に進み始めた。


ここから、華子にとって大きな選択の時期に入っていく。