再現答案

第1 設問前段

1 本件で弁護人の主張は,事件②は,既に有罪が確定した事件①と常習傷害罪の包括一罪を構成するため,「確定判決を経たとき」(337条1号)にあたり,「免訴」判決がなされるべきというものである。

2 刑事訴訟において,審判対象は,訴因たる公訴事実に限られる(256条2項2号,3項前段)。そこで,「確定判決」とは,同一の公訴事実に対する判決を意味すると解すべきである。

 本件で,事件①と事件②は共に同一の公訴事実とはいえない。よって,原則として,「確定判決を経たとき」にあたらず,「免訴」判決をすべきでないのが原則である。

3 もっとも,事件②は事件①と常習傷害罪を構成するため,分割して起訴することは,被告人の利益の観点から妥当ではない。そこで,やむを得ない事情がない限り,検察官は常習一罪として起訴すべきであり,やむを得ない事情がないにもかかわらず,分割して起訴した場合は,「確定判決を経たとき」にあたり「免訴」判決がなされると解する。

 本件で,事件②は,事件①の判決が確定した後に発覚したものである。そのためやむを得ない事情があると思える。しかし,捜査機関の怠惰を理由に被告人に不利益を与えることは不合理である。そのため,たとえ,事件①の時点では発覚していないものであっても,発覚できなかったことがやむを得ないと認められない限り,これは認められないと解する。

 本件で,事件①は,H県I市内の自宅で交際相手である乙に対する傷害事件である。これに対し,事件②は,J県L市内の路上における見ず知らずの通行人丙に対する傷害である。事件②は,事件①が発生した場所と他県他市で行われたものであり,このような場合,捜査機関の管轄が異なることが通常であるといえる。また,事件②は見ず知らずの通行人に対して行われた傷害であり,事件①のような知人に対して行われたものに比べて発覚しづらいものであるといえる。これらの事情を踏まえると事件②が発覚しなかったことはやむを得ないものといえる。

 以上より,検察官が事件①と事件②を分割して起訴したことにはやむを得ない事情があるといえ,「確定判決を経たとき」にあたらず,「免訴」判決はすべきでない。

4 以上より,弁護人の主張に対して,裁判所は,免訴判決をすべきでない。

第2 設問後段

 本件では,事件①が常習傷害罪で有罪判決が確定している。

 そうであれば,事件②の傷害罪は,事件①と常習一罪の関係にあるといえ,事件①の同一の公訴事実に関するものといえる。よって,「確定判決を経たとき」にあたり,「免訴」判決をすべきである。

 以上より,裁判所は,弁護人の主張を認め免訴判決をすべきある。

 以上

雑感

 再現答案は試験翌日に作成したので,再現度はかなり高いと思います。また,SNSの解説等は見ないようにしていたので,脚色はないと思います。
 まず最初に,問題文を一読したのですが,正直,何が問われているのか分かりませんでした。そこで,刑法に多めに時間を使い,残りの時間を刑訴に使うことにしました。その結果,刑法に約90分,刑訴に約50分という時間配分になりました。
 本当に何も分からなかったので,問題文の事実を全部使うことだけを意識ました。その結果,ゴミ答案が完成しました。対戦ありがとうございました。
 自己評価は,当然にF評価です。