「文は人なり」という言葉があります。

 

 ざっくり書くと、文章を読むと書いた人がどんな人かわかる、という意味。

 

敷延して文章から作者象が浮かび上がるくらい読め、という教えにしてもいい。

 

全集を読破、熟読していくと筆者の人物像が見えてくる境地があると言います。

 

 

 小説には幾分、”性癖”がでるきらいあり。

 性癖(癖全般でしょうけど)は文体の端々に出る。

 

 そんな傾向があるかもしれません。

 

 

 ですので、前回の谷崎潤一郎が、「なんか、この人、神経質でフェチっぽいね」という人の印象になってもどこか憎めません。むしろ人間味を感じているくらいです。

 

 

 

 

 さて。

 

 この文は人なりを英語で書くと、"The style is the man."

 

  Styleとは文体のことです。日本語の文の部分をStyle(文体)と訳しています。


 

 村上春樹は文体についてこんなことを書いてます。

 

英語に”Style is an index of the mind.”という言葉があり、これは「文体は心の窓である」って訳されています。p.289

 

 『みみずくは黄昏に飛びたつ(村上春樹×川上未映子)』 

 

 

 心の窓とは、意訳に過ぎる気がしましたが、なるほど文は人なりを引き合いにだせば、その意図がわかってきます。
 

 

 それは

 ・書いた人がどんな人かわかる

 

 という意味合いなのだから「心の窓」と訳す方がむしろしっくりくる。(主に文系の文章に限られることかもしれませんが、なるほどと。)

 

 

 文=文体=心の窓

 

 

 

 

 文体を完成させることによってのみ反映させることのできる時を重ねた表出。そんな心の現われだとしたら、大変、興味深いものです。

 

 

 

  (おわり)