英語に"WALKABLE(歩ける)"という概念があります。

 自家用車がなくても都市移動に支障がない、という意味です。

 特にアメリカで最近注目されている都市観念のようですが…

 どこへ行くにも車が必要なアメリカで実際に"WALKABLE(歩ける)"と呼ばれる都市は片手で数える程…

 またNY・ワシントンなど一都市レベルでは、高速鉄道網が整備されても、ニューイングランド・エリア(東海岸地方)など広域まで視野を広げると極端にアクセスが悪くなることがわかります。

 結局、どこへ行くにも車を使え、という頭になるわけです。

 

 

 

 それに比べ、全国端から端まで鉄道インフラが整っている日本。

 

 

 日本のように鉄道インフラが充実している国は世界でもかなり珍しい。

 

 全国の鉄道会社が経営困難に陥っていると聞きます。

 採算が合わないにもかかわらず、鉄道インフラを維持しようとする。公共交通機関として、社会に貢献したい気持ちが日本人(経営者)には強いのでしょうか。皆が公共物を公共利用できる社会を望む?

 

 

 

 

 

 さて、それはさておき、

 

 「ウォーカブルな環境か?」という問いかけは、その地域の環境を理解する際、便利そうです。

 

 

 アメリカや日本という国柄を理解しようとするときわかりやすい問いだし、両者の生活がどのような感覚の違いで営まれているか窺い知ることができます。

 

 

 

 

 こうした視点から東京と世界を比べてみるのもおもしろい。

 

 

 

 この国の都市形成の特徴がわかってくる、のではないかと思います。

 

 

 

 最近、旅行で、東京散歩することが多いのですが、先回の 高円寺界隈編を簡単に振り返ってみました。

 

 

 

   ―高円寺の特徴

 

 ○東西に走るJR中央線を境に北側と南側に街並が広がる。

 ○駅や高架下に通り抜けのコンコースや抜け道。→ 何かに利用できる空間がそこらに生まれる。→ 人が移動し立ち寄り賑わう。

 ○商売ができる当たり前の環境が自然と整っている。

 ○町の隅々までこの国の文化が沁みていく。

 ○庶民の生活が充実。

 

 

 

 

    ↓

  これはつまりよくある日本の街の風景であり、(隣の中野や阿佐ヶ谷にも共通する特徴…というか、山手線全駅でも同様か…)

 

  日本の個性であり、

 

  ひとつの切り口として、

 

  "WAKABLE" の結果と言えます。

 

 

 というか、理想のウォーカブル・シティ!と呼べそう?

 

 

 こうした鉄道基盤に基づいた長年の発展こそ典型的な日本の都市風景を生む要因…

 

 ではないか…

 

 

 

 都市部の日本人にとって「駅」とは単に電車が発着するだけの停留所の意味ではなく、周辺も一体となった商業活動の活発な地区。

 

 「駅前」とは、この街で一番賑やかな場所という概念が含まれる。

 

 ――暇だし出かけてみよっかな、のノリが発生する。

 

 

 

 外国人の目に映る日本の街並とはどんなものだろう。

 

 

 

 日本は交通公共機関の国。安全にスムースに移動しやすい国。東京から全国津々浦々まで線路が網羅。

 

 これは間違いないので、日本人にこの意識がもっとあってよいのではと?

   ↓

 これらが日本のオーセンティックな都市風景に貢献していると思えば尚更です。

 

 

 その結果として現れた風景がまず外国人が「日本」を肌感覚で感じとる第一印象?

 

 

 つまり、外国から旅行で来日している人、特にアメリカ人の目には、日本の鉄道交通ネットワークを基盤にした街の発展・成熟が、まさに「日本」を実感させる景色として映っているのではないか。

 

 

   ↑

 先日、このことをイリノイ州出身のアメリカ人男性(元エンジニア)に話してみたら、大いに賛同してくれました。

 

 

 

 

   (追加)

 

  ここからはアメリカの方と話したときの内容になります。

 

 

 彼にこのことを話すと、仮に米国の多くの州都で日本のような高速鉄道網を敷設させる計画が持ち上がったとしても、日本レベルの都市形成に至る社会実装はなかなか難しい、と言っていました。

 

 

 ぶっちゃけこれまでの経験と実績がないのでやり方がわからないことを挙げ…

 

 

 犯罪発生率の増加が懸念される、とも。

 

 狭い路地、陰のできる高架下の登場は、犯罪を助長する可能性。

 

 

 その他

 

 建設費用やその後の採算など。

 既得権益。勢力。ロビー活動団体。

 

 

 などが障害の理由として挙げられるでしょう。

 

 

 

  こういうことを聞くと、

 安全と長年のノウハウって地域の財産

  なんだなと思ってしまいます。

 

 

 

 狭く細やかな通路・路地を可能性ある趣あるものにしてしまう。人間活動を豊かに育んでしまえるのも安全な環境のおかげというニュアンスがわかります。自覚せずやってきたところが日本人らしい…

 

 

 

 

 

 

 多くの外国人にとって電車に乗り、東京などからある土地土地へ転々と移動を重ねていくこと自体、日常的ではない体験。正しい電車に乗り、途中の駅で乗り換え、最短ルートで間違いなく目的地に到着するだけで、ちょっとしたゲーム感覚?

 

 これが全国レベルになると、電車に乗って大きな荷物を運びながら移動すること自体、旅の醍醐味になることも?

 

 

 少し大げさかもしれませんが…

 

 

 遠く離れた目的地に難なく着けるだけで、「日本」を感じとる体験になっているかもしれない。

 

 

 

 ということで、全国の公共交通機関の施設(駅、高架下)、周辺に街が繁えていることが日本の礎、日本文化の特徴になっているという内容の話でした。

 

 

 拙文お読みいただきありがとうございました。

 

 

 

  (おわり)