2023年、世界に起こりそうな5つの大きな出来事
1 インドの人口
2 ドラッグ療法の普及
3 日本銀行の判断次第で世界不況
4 ファッション業界のリサイクル(思考)
5 芸術品の返還
今回は、単純に「The Economist」の翻訳まとめになります。
世界のターニングポイント①
インドが中国を抜き世界一の人口に
インドの労働者人口が世界一
アップル 工場を中国から移転
i-phone14をインドで製造予定(発表)
インドは中国の成功をまねようとしている
しかし、インド特有の社会構造がネックに
問題:90%の労働者が非公式(正規の賃金で働いていない)
女性;教育を受けてもレベルの高い職業に就けない
遅れたインフラ、安定した労働力の確保に問題
職業訓練を受けた人が少ない(3%)
栄養失調や伝染病の懸念さえ
世界のターニングポイント②
麻薬が処方箋に?
3つのドラッグを治療薬に
・MDMA(合成麻薬)とプロのカウンセリングを組み合わせたセラピーによりPTSDを治療
・シロシビンにより抗鬱治療
・ケタミン(治療に取り入れること)によりアルコール中毒を改善 (イギリスでは既に導入)
世界ではますますドラッグを治療に取り入れる傾向。合法化の流れもあり。
PTSDはアメリカで毎年1200万人。(退役軍人など含む)
MDMAを使用した患者の67%が標準的なPTSD症状から回復
不安を取り除き、幸福感を増加。トラウマからの影響を軽減。
研究結果により一定の効果が見られた。
マジック・マッシュルームと呼ばれるキノコから抽出されるシロシビン(幻覚剤)の投与により5人に一人が抑鬱効果。(12週目)
ケタミン
療法のあと6ヶ月、86%の被験者がアルコールを断つことができた。
セラピーを受けながらだと、薬の効果が上がった。
2023年は精神病治療の大転機になるかもしれない。
世界のターニングポイント③
世界GDP第三位の日本が(世界不況のトリガーになりうる)
世界に数兆ドルの金融資産を持つ。(世界経済に多大な影響)
世界と金融的に強く結びついている
世界一の国債発行(≒借金)国
昨年末(12月)、10年満期の国債の金利(許容幅)を拡大(企業の借入、不動産ローン金利と連動)。
0.25%→0.5%に
(事実上の緩和修正かと騒がれた)
日本の日銀の決断に世界が注目
低いインフレ率のおかげで金利が低い時代が続いていた。
(ふつう)インフレが起こるとそれを抑えるため金利を上げる。しかし日本ではそれが長年、起こらなかった。(金融緩和)
コロナ禍とウクライナ戦争が起こっても米国・英国に比べインフレ率はかなり低かった。
2022年アメリカのFRBが(高インフレに青ざめ)金利を立て続けに上げた結果、日本との金利差がひらき、円安に。
長年続けた0.25%を→0.5%に。
円安抑制、物価上昇を抑える効果。
市場を不安定にするには十分。
世界景気の停滞に拍車をかける?
金利が低ければ、国債購買力は安定する。
金利が上がれば、(投資家が1000兆円を超える政府の借金を懸念し)国債売りが始まりかねない。
(追加)
最近(1月)日銀の発表がありましたね。追加の金利引き上げはなかった。むしろ0.5%→0.4%に。
引き続き金融緩和続行傾向。金利を上げれば急速な円高だったが、そうはしなかったので、再び円安に振れた。とはいえ、今後は徐々に円高予想。
このニュースは昨年末に出されたものですので多少、現在と状況が異なります。
世界のターニングポイント④
これまでのどの時代よりも多くの服を製造し、多くを着ていないのが現状。
Tommy Hilfiger、Hugo Boss、LVMHなど
一流ファッションブランドが、修繕(リペアー)、再販売(リセイル)サービスに取り組む傾向。
リセイル(resale)・ レンタル(rental)・ リペアー(repair)・ リメイキング(remaking)で循環させる製造・流通モデルは2030年までに業界の23%を占める可能性がある。
将来、市場価値7000億ドルの試算も。
本当にエコになる循環システムが構築されるのか懐疑的。
世界のターニングポイント⑤
芸術品・文化遺産の現地への返還運動
植民地時代に欧米が植民地から持ち帰った芸術品を返還する大きな運動が起きそう。
英国王の王冠に飾られるダイヤは元々インドの「コイヌール(Koh-i-noor)」と呼ばれるダイヤモンド。(1849年、英国がインドから持ちだす)
昨年のチャールズ三世即位時、カミラ夫人がこのダイヤのついた王冠を被るか注目された。
もし被っていたら、インドから相当の抗議があったと予想されていた。
エジプト
エチオピア
ガーナ
太平洋諸島
イースター島
ラテン・アメリカなど次々に、返還を要求する年になりそう
論争が激しくなっている。
グラスコー美術館がイギリスで初めてインドにアート品を返還する美術館に。
過去に略奪した外国の遺品を返却せず、友好な関係を維持することは不可能という考えに基づく。
「我々は、自分たちの祖先のルーツを知る手がかりを失っている(ガーナのアーティスト談)」
法律の壁→政治にゆだねられることに。
(感想)
大英博物館は、世界中の貴重品を強奪してきた英国の負の歴史のシンボルとも言える。
以上、「The Economist」が注目した5つでした。
(おわり)