『イヴ・クライン』展―不確かさと非物質的なるもの―(金沢21世紀美術館)

殆ど写真撮影不可

 

肉体を使ったアート

日本の柔道

金、青、白色に注目

34歳で夭折

2階から飛び降りる写真で「あぁ、この人か」とわかりました。

詩も秀逸

 

 

 

 

 

もし君がいつかもどってきたら

この素晴らしい空虚を

この絶対的な愛を

君もまた夢を見ているだろうから

一緒になって

一言も口を開かず

ぼくたちは身を投げるだろう

この空虚の現実の中に

私たちの愛を待っている

私が毎日あなたを待っているように…

私と一緒に空虚に入りましょう

 

―イヴ・クライン 新聞「ディマンシュ(日曜)」1960年

 

 

 

 

↑これは別の作家の作品『水』

色水をビニールチューブに入れたもの

色に執着する人はいるようです

形よりも色

 

 

時期によって手法やスタイルが変わります。

バーナーを使用したもの

金箔を使用したもの

ヌードモデルを使用したもの

自ら作った顔料を使用したもの

その意味でも刺激のあるアーティストと言えます。

『青の顔料』

青は古来、非常に貴重な色だった

自分で製造した色だそうです

『虚空への飛翔』

 

これはネットから借りてきた 

偽りの新聞として配ったらしい

 

現代アートの文脈(説明)でよく出てくる作品

 

虚空に対して人は何ができるのだろう―――

(自らの肉体をもって飛び出すしかない)

 

 

空虚(void)に悩みこだわった

クラインが何かヒントを与えてくれるのかもしれません

 

 

どこまでも空虚と実体(肉体&精神)が拮抗しているような感じかな…よくわからんけど

 

 

 (連想つぶやき)

 愛の前提とは、という命題を思う

 

 空虚の周辺にこそ愛が落ちているのかもしれない

 絶望する前に周りをよく見てみよう

 

 ひょっとして社会は空虚を意識しながら構成されてきた…

 

 

 空虚があるなら愛もある

 愛があるなら空虚もあるさ

 

 

 思わず思ったことをつぶやいてみた

 

 

『人体測定(ANT66)』

 

非物質性―物質から精神性の表現へ

 

日本滞在中、原子爆弾によりできた「人間の影」の存在を知り、

パフォーマンス・アート『人体測定』を実施。

 

ヌードモデルの裸体で表現

 

 

 

 (妄想・連想)

 

 物質とは精神活動の痕跡を残すための影に過ぎず、むしろ精神こそが実体で、物質はその痕跡を残すための軌道や残影に過ぎない。

 

 物質だけでは芸術はなされない。芸術は人間の精神と技術がなければ生まれないし、そのことを証明している。

 

 

 

 (妄想・連想2)

 

 科学の分野で、すべての心的活動は脳に還元されると断定されても、精神から物質に働きかけることがなければ、オリジナルな変異である形状の物質にはならない。

 

 新実存主義の著者マルクス・ガブリエルが喩えていた、自転車とサイクリングの関係を思い出した。

 

 

 イブ・クラインは、青に惹かれたアーティストだった

これもネットから借りた

 

 

 

 (連想)

 

 人類史上、もっとも影響を与えた色として金、青、白の三色が挙げられる。これはBBCの特番でも取り上げられていたのを覚えている。

 

 金の貴重さは言わずもがなで、たとえば古代ローマ帝国ではソリダスという金貨で兵士を雇い、広大な領土を獲得していった。

 ソリダスは現在の英語のソルジャーの語源になったし、頭文字(イニシャル)からドルのマーク、$が派生した。

 2千年以上経っても質と輝きは変わらず、幾世代にわたっての財産となる。また太陽エネルギーのような不死・不老の象徴として崇められてきた。

 今も米国の銀行には世界一の金塊が埋蔵されており、国際通貨であるドルの価値を担保している。

 

 

 しかし、青もまた非常に貴重な色だった。現在アフガニスタンに当たる地域で採掘されたラピスラズリという硬い鉱石からつくられた。顔料を製造するのに手間と時間がかかったのでとても高価なものだった。一部の教会の宗教画やフェルメールの青などでも有名。

 

 クラインは自ら開発した「インターナショナル・クライン・ブルー」で特許を得た。

「青」を宇宙の神秘的なエネルギーに通じる最も非物質的で抽象的な色だと重用した。

 

 

 

 彼が、この二色に着目したところは、BBCの番組と共通していたので興味深いと思った。

 

 

 

 (おわり)