『私の消滅』を購入。
職場の人に話したら、この作者は『教団X』よりこちらの方がおもしろいと。
文庫本のカバー絵は、森美術館で観た塩田千春さんの作品だ。
ということで、『私の消滅』を読了。
トラウマのある記憶、自分の内面に犯罪を起こすかもしれない”異物”がある場合なら、催眠療法やECT(電気痙攣療法)で記憶を改竄してしまう方がいいのか。
作中では愛する者を殺された復讐のため敢えてモンスターになる措置を望む。
二人の診療医による記憶改竄が絡み複雑。
他者の中に複雑に「私」が刷り込まれていくため主語が誰なのかも曖昧に。
「私」の視点(パースペクティブ)が、他人の「私」の記憶の視点になったり、本来の私の視点になったりと変化するので、新感覚の読み応えでした。本人の記憶も一部改竄させられているとしたらさらに複雑で…
はじめ、物語の中にある物語という入れ子状の構造で重層的に話が展開していくのかと思ったが、…(内緒)
「私」に他人が介入することによって「我思う、故に我あり」が簡単に崩壊して。。
ページ数が少ないので(175ページ)、ついていけましたが、これがもし500~600ページになっていたら複雑すぎて混乱していたかもしれません。
「私の消滅」というタイトルに惹かれました。