今回も、とある女性起業家のお金にまつわるストーリーです。
この文章に出会ってくれたあなたに、今、私は心から伝えたいことがあります。
なぜなら私は、かつて通帳残高が「5円」という現実を前に、
電車にも乗れず、立ち尽くしていた女だからです。
起業家として人前に立っていたはずの私が、
その裏で、コンビニのおにぎりすら買えなかった。
それが、ほんの数年前の話です。
その日、私は打ち合わせに向かおうとしていました。
でも、財布の中を見ても、小銭が数枚しかない。
「まあ、口座から下ろせばいいか」
そう思って、駅前のATMに向かったんです。
……残高、5円。
目の前が真っ白になりました。
立ち尽くして、ただ、動けなかった。
電車賃すら払えないなんて、
どんな貧困のドラマよって笑い話にしたかった。
でも、現実は笑えなかった。
あの時、私の中で何かが崩れました。
「これはもう、経営者として終わりだ」
心の中で、そうつぶやいたのを覚えています。
今思えば、本当に愚かでした。
当時の私は、売上=利益だと思っていたんです。
「今月は売上100万いった! やった!」
そのたびに、自分にご褒美と称して外食、服、セミナー。
お金を使うことに、どこか「自己肯定感」を求めていたのかもしれません。
でも当然、残りませんよね。
売上から経費を引いて、税金も考えて、ようやく残る「手元に使えるお金」。
そんな基本中の基本すら、理解していなかった。
いや、知ろうとしていなかった。
「私は数字が苦手だから」
「感覚でやってきたし、大丈夫」
そんな言い訳を重ねて、数字から目を背け続けた結果が、残高5円だったんです。
あの頃の私は、ビジネス講座にも、自己啓発にも、いろんな「投資」をしていました。
月に10万円以上を「学び」に使っていたこともありました。
でも、まったく現実が変わらなかった。
なぜか?
答えは、「投資」と「浪費」の区別がついていなかったから。
本来、投資とは「未来の成果に向けた意図ある支出」。
だけど私の投資は、
「安心したい」、「不安をごまかしたい」という、
感情を埋めるための浪費だったんです。
たとえば、
・講座に申し込んだことで「やってる感」を得る
・コンサルに高額を払ったことで「私は本気」だと自分に思わせる
・本や教材を買うことで「変われる気がする」
全部、「お金を使うことで自分の価値を感じようとしていた」だけだった。
私が気づかなかったのは、
「お金の使い方」=「自分の価値観の映し鏡」だということ。
お金を雑に扱うということは、自分を雑に扱っているということだったんです。
「お金の管理が苦手」なんじゃない。
「自分を大切に扱う」という習慣が、そもそもなかっただけ。
私は、お金との関係を通して、ようやく自分自身と向き合う覚悟ができました。
正直、最初は怖かったです。
数字を見るのも、家計簿をつけるのも、通帳を開くのも。
でも、5円の残高を見たあの日の恐怖が、それ以上だった。
だから、まずはここから始めました。
■ 売上・経費・利益を、毎月ノートに手書きする
→ Excelが苦手だったから、アナログでOKに。数字を「見える化」することから始めました。
■ 「投資」と「浪費」を言語化する
→ お金を使う前に、必ず「これは何のための支出か?」と自問。
■ 自分が「不安な時」に財布を開いていないか記録する
→ 感情とお金の使い方の癖を知るために、出費と感情をセットで書きました。
すると、少しずつ変化が出てきたんです。
お金が増えるより先に、「私には選択肢がある」という感覚が戻ってきた。
私が今、こうしてこの文章を書いているのは、
あの時の私と同じように、数字が怖くて、自己投資で自分を追い込んでいる女性を救いたいからです。
「本気でがんばっているのに、なぜかお金が残らない」
「学んでも、現実が変わらない」
「いつもお金に追われている感覚がある」
そう感じているなら、それはあなたの根性が足りないわけじゃない。
ただ、「お金の見方」を知らなかっただけなんです。
いまの私は、数字を味方にしています。
怖がらず、堂々と通帳を見て、利益計画を立てて、お金を必要なところに使えるようになりました。
売上が上がってから、数字を整えたんじゃありません。
数字を整えたから、売上が伸びたんです。
お金の管理とは、自己管理です。
お金の管理とは、自分を信じる技術です。
起業家として、自分の人生を選んだあなた。
どうか「数字から目を背ける優しさ」ではなく、
「現実と向き合う強さ」を選んでほしい。
「数字が怖い」と感じるそのやさしい心ごと、
大丈夫だよって、抱きしめてあげて。
あなたには変われる力がある。
私がそうだったように。
あなたがこれ以上、同じ苦しみを繰り返さなくて済むように。
私の5円から始まった「気づき」が、誰かの未来を救いますように。