ポケットの中でめくれたシールを見た瞬間、
胸が締めつけられるような思いがした。
ビックリマンシール『魔統ゴモランジェロ』
ボクが初めて手にしたキラキラのヘッドシールだった。
小学校1年生の頃、
1980年代後半はビックリマンチョコが大ブームだった。
1個30円のお菓子をお小遣いで買い、
封を開けるときのドキドキ感は今でも忘れられない。
キラキラしたヘッドシールが出るかもしれないという期待。
初めてのヘッドである『魔統ゴモランジェロ』を手にしたときは、
天にも昇る気持ちだった。
けれど、
その喜びは長くは続かなかった。
シールを大切にしすぎて
半ズボンのポケットに入れたまま遊んでいたら、
ポケットの中でめくれてしまい、
毛玉だらけになったのだ。
失望感で胸がいっぱいになり、
泣きそうになった。
子ども同士では、
ビックリマンシールの物々交換が当たり前だった。
自分が持っているシールを見せ合いながら、
友達と取引をする。
その駆け引きが楽しくて、
毎日のように放課後の時間が消えていった。
でもその一方で、
盗まれたシールが原因でケンカになることもしばしばだった。
あの頃のビックリマンブームは、
ボクたち子どもたちを完全に熱狂させていた。
TVアニメも放映され、
日曜日の朝8時半は誰もがテレビの前に釘付けだった。
あの熱狂の中にいたボクは、
夢中になることの楽しさを全身で感じていたのだと思う。
でも、
今のボクは少し違う。
スポーツや音楽が好きだが、
特定のチームやミュージシャンに夢中になることはほとんどない。
好きなものはあっても、
どこか冷静に見てしまう自分がいる。
それでも、
ビックリマンに熱中したあの頃の気持ちは今でも忘れていない。
ポケットの中でめくれたゴモランジェロは、
今でも実家のアルバムに大切に保管されている。
あの頃の熱狂があったからこそ、
今のボクがいるのだと思う。
あなたは、
子どもの頃に夢中になったものがありますか?
それは今でも、
あなたの中で特別な存在として残っていますか?
今のボクは何かに夢中になることが減ったけれど、
あの頃の熱狂を思い出すと、
夢中になることの大切さを改めて感じる。
いつかまた、
そんな瞬間を見つけられるといいなと思う。

