かりんとう | FLATがたくさんいるね

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北海道は独立すべきである。

銭湯のおっさん「誰だ!お湯にかりんとう浮かべた奴!汚くて入れねえじゃねえか!」

銭湯の人々「…」



髪の毛というものは、女性のそれは人の目に大変麗しく見えるけれども、抜けて床に落ちてしまえば、あら汚らわしい。
私達茶菓子は、いつも茶の隣にいて、上品なものとして扱われ、同僚達は優雅にその命を絶っていきました。でも、私は納得がいかなかった。
望んで売春をする少女はこういう心理なのでしょうか、私も、髪が抜けて埃にまみれるように、尊厳を失って死にたい。髪の毛と同じ未来を辿るのもいいけれど、私は熟慮の末、銭湯のお湯に浮かぶ事を決めました。いざ浮かんでみれば、ただでさえお湯に物が浮かんでいるというのは人間にとって嫌であるのに、食べ物である事、普段はお上品な茶菓子である事、その色、形から人間を尚更不快にさせたようでした。銭湯の人々の目から、それはもう嫌というほど伝わってきました。しかしたった一人だけ、話を聞けば昔に性犯罪で捕まって先日世に戻ってきたらしいのですが、その中年男性だけは私に優しい、暖かな目を向けてきました。しかししばらくすると、私に興味を失ったのか、絶望というクスリをキメたかのようなどんよりとした表情になってしまいました。
そして私は、溶けてしまいました。私は本懐を遂げ、他のかりんとうよりもずっと晴れ晴れとした顔で世を去った自信があります。

銭湯のおっさん「本当に誰なんだよ!お湯にかりんとう浮かべた奴!」

銭湯の人々「…」