自分は子供の頃から寝つきが悪い。
おそらくこれはトラウマである。
子供の頃・・・兄と部屋を共有していた。
普段は特に不都合なことも無く過ごしていたのだが、地獄は夜にやってくる。
兄の強烈な“歯ぎしり”である。
自分が先に寝入ってしまえば問題無いが、兄が先に寝てしまったら・・・もう大変。
黒板を爪で引っかくような音に近い不快音を一晩中聞くはめになる。
自分でできる対策としては、兄よりも先に寝ること。
しかし、焦りだろうか・・・早く寝ようと思えば思うほど眠気が覚め、寝つきは年々悪くなっていった。
布団に入って寝つくまで およそ1時間ほど要するのは、現在に至るまで変わらない。
早く寝ることを諦めた自分は、次の手を考えた。
耳栓をしてみた。
しかし、「ギリギリギリ」という不快音は、完全にはシャットアウトできない。
不思議なもので・・・かすかに聞こえる不快音は、普通の音量で聞くよりも不快にさせる。
次に試したのは、イヤホンをして音楽を聞く方法。
小さな音で聞くと、かすかに聞こえてくる歯ぎしりに気を取られる。
その為、タイマーをセットし・・・大きな音で音楽を聞いた。
これは当初はうまくいった。
が、その後、音楽を覚えてしまうと逆効果。
勝手に頭の中でリズムを刻み、覚えた歌詞も頭に浮かび・・・眠気が覚めるようになったのだ(笑)
クラシックも聞いてみた。
しかし、ちょくちょく訪れる静寂が「ギリギリギリ・・・」と歯ぎしりの不快音を際立たせる。
結局、何をやってもダメだった。
例えばの話、その歯ぎしりが一定のリズムで聞えるのなら・・・
ノイズ・ミュージックとして誤魔化すことも可能だろう。
しかし、兄のそれは・・・リズムが不安定で音量も異なる普通の雑音。
兄から学んだのは、雑音は音楽では消せない・・・
ということだった(笑)
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『サウンド・オブ・ノイズ』 (オーラ・シモンソン監督)
ノイズ・ミュージックという面白いテーマを使った、スウェーデン・フランス合作の2010年映画。
クライムコメディ作品である。
この映画は、単純に音楽をこよなく愛する音楽・テロ集団と・・・
音楽一家の長男でありながら音楽音痴で音楽が大嫌いな刑事がメイン。
展開としては・・・
この音楽音痴で、音楽を聞くことさえ苦痛の刑事さんが、音楽テロの事件を追っていくと・・・
何故か自分だけ、テロ集団が用いた楽器の音だけ全く聞こえないということに気づく。
そんな不思議な世界観の映画。
この映画はトラウマの解消を描いている。
音楽家族なのに、自分だけ音楽センスが無いという刑事さんの劣等感。
その為、音楽を聞くと耳から出血するほど苦しんでいるわけだが・・・
音楽テロ集団を通して、音楽・音に触れて行く度にトラウマが解消されていく事を表現している。
音楽が雑音として聞えていたが、日常に溢れる普通の音=音楽として聞こえるようになった描写。
最終的には、テロ集団が街全体を使ったからこそ、あのエンディングを迎えられる。
この映画は非常に面白い。
ただ、残念なのは・・・あまりに前半の展開が面白過ぎたこと。
後半からの展開があまりに変化し過ぎて、若干つまらなさも感じる。
前半と後半の雰囲気が逆であれば、個人的に大絶賛していたに違いない。
満足度・・・★★★☆☆
ブルドーザーやユンボで的確にリズムを刻むのは不可能だろ~(笑) 度・・・★★★★★