企業経営において、既存のお客様のフォローと新規顧客の開拓は同時並行でやっていかなければなりません。優先順位をつけるとすると、人員の少ない小規模な事業所の場合は、既存のお客様のフォローを万全にやって、余った時間で新規顧客の開拓ということになるでしょうし、人員の多い大規模な事業所ですと、既存のお客様のフォローをする担当と新規顧客の開拓をする担当を分けて分業にすれば、隙間なく両方のタスクを解決していくことができるわけです。

 ただ、分業にした場合は、新規顧客の開拓をする人の実績によって、それに見合った賃金体系にしないとモチベーションの維持・向上が図れないですし、かかった人件費を売り上げによって補っていくことができないので、経営を圧迫していくことになります。

 ここで賃金設計というのが、どれだけ大事かということがわかるわけですが、普段は賃金の体系や仕組みを気にしている経営者の方は少ないと思いますし、まずは売上の向上という目の前の資金繰りの対応に追われることになるのがほとんどと思われます。

 企業に関与している専門家の立場としては、賃金設計の必要性だけ説明しても、それがすぐに売り上げに直結してくるイメージを持ちにくいですから、集客力向上の提案や業界の最新動向の研究から得たビジネスの仕組みづくりの提案なんかもやりながら、売上に直結する提案をやり、なおかつその実行部隊である新規顧客開拓を担当する労働者の意欲向上につながる賃金のことまで提案すると、だんだん目に見えにくい価値や必要性が具体化されていきます。

 これは例えて言うなら、ある商売を始めようという動機があり、その商売を始めるのに資格が必要だとすると、その資格を取得するという第一目的のために、それではどんな勉強すればいいのかというのを教えてもらったとしても、その勉強をするために効率的な学習方法や教材・ツールがわからないと資格取得という第一目的に早く到達できなかったり、あるいは第一目的にいつまでたっても到達できないことになるので、目的達成のためにはその目的達成のために必要な武器・情報とその武器・情報を使いこなせるだけのテクニック・ノウハウが必要ということです。

 経営者の目的が売り上げを確保して、利益を上げていくことにあるとするならば、その目的のために必要な武器・情報を身に着け、その武器・情報を今度は上手く使いこなしていくテクニック・ノウハウを持って初めて初期の目的が達成されるわけです。

 それが、集客力向上の提案とその実働部隊となる人員が意欲的に働ける仕組みづくりとしての賃金設計ということになり、企業の経営を支えます。