三宿と三軒茶屋を結び、太子堂を走る“あいあいロード”の道幅は狭くない。徐行すれば車も行き交う。こじゃれたカフェやバー、昔ながらの小売店が混在し、時間帯によっては歩行者天国になる、地元に密着した商店街である。
びあんち号にまたがり、三軒茶屋に向かってあいあいロードを走っていると、三宿に向いて歩く女性と目が合った。互いが交差すると予想されるポイントは路上駐車した車と立ち話をしている人たちとが障害になっていた。僕が右に寄ろうとしたら彼女も僕から見て右へ、それならば左にハンドルを切れば彼女もそちらへ。そうこうしているうちに距離が近づき、結局はブレーキをかけて止まり、彼女も立ち往生した。右手の平を向けて「すみません」という僕の言葉は彼女の言葉と全く被った。僕はもちろんのこと、向こうも気を悪くしていなかったと思う。
体勢を立て直してそれから数十メートル、僕から見て左にある青果店に、道を横切って行こうとする女性がいた。それならば右を、その女性の背を通るように行こうとしたが、彼女はきびすを返す。衝突しそうになり「おああ」と声をあげてその時に初めて彼女は僕の存在に気づいた。結局はブレーキをかけて止まり「すみません」と言ったのは彼女のほうだけだった。僕は悪くないという意識があったのだ。
体勢を立て直してそれから十数メートル、自転車に乗った少年がこちらに向かってくる。周囲には何もなく余裕で回避できると思っていたが、彼は僕を視認してからずっとハンドルがガクガクして、しまいにはペダルから足を下ろした。それを横目で見ながら通り過ぎる。その間に交わした言葉はない。荒んでいるのか僕は。
びあんち号にまたがり、三軒茶屋に向かってあいあいロードを走っていると、三宿に向いて歩く女性と目が合った。互いが交差すると予想されるポイントは路上駐車した車と立ち話をしている人たちとが障害になっていた。僕が右に寄ろうとしたら彼女も僕から見て右へ、それならば左にハンドルを切れば彼女もそちらへ。そうこうしているうちに距離が近づき、結局はブレーキをかけて止まり、彼女も立ち往生した。右手の平を向けて「すみません」という僕の言葉は彼女の言葉と全く被った。僕はもちろんのこと、向こうも気を悪くしていなかったと思う。
体勢を立て直してそれから数十メートル、僕から見て左にある青果店に、道を横切って行こうとする女性がいた。それならば右を、その女性の背を通るように行こうとしたが、彼女はきびすを返す。衝突しそうになり「おああ」と声をあげてその時に初めて彼女は僕の存在に気づいた。結局はブレーキをかけて止まり「すみません」と言ったのは彼女のほうだけだった。僕は悪くないという意識があったのだ。
体勢を立て直してそれから十数メートル、自転車に乗った少年がこちらに向かってくる。周囲には何もなく余裕で回避できると思っていたが、彼は僕を視認してからずっとハンドルがガクガクして、しまいにはペダルから足を下ろした。それを横目で見ながら通り過ぎる。その間に交わした言葉はない。荒んでいるのか僕は。