電車のつり革につかまって立っていた。駅に着いて客の乗り降りがあり、しばらく止まっている。ホームを歩いている老人を眺める。着ているジャージの背中に「え」と書かれていた。右半分しか見えない。歩みの遅い老人の背中が全部見えるまで、電車は発車してくれるなと願いながら老人を見守った。全面が露になり、明朝体の「萌え」を背負っていることを確認して、その駅をあとにした。