大学生の頃に戻ったというよりも、復学したという設定なのだろう。そこは出身校ではなく、全く知らない学校だった。それでも勝手知ったる面持ちでキャンパスを闊歩する。教室に入り、最後部の席を陣取った。前に座る女性に僕は恋心を寄せているようで、ちょっかいを出す。彼女は半身の体勢になって僕と向き合い、小声で話した。僕は彼女と手を繋ぎたくて仕方なかった。横にある彼女の鞄の上に水筒が置いてあって、それをもらおうとしたら拒まれた。普通の人が飲んではいけない飲み物だというのだが、何をもって普通と判断するのか分からず、ごねてはみるものの僕はそれに固執しているわけではない。通じ合っていたいがために喋り続けた。ふと、おもむろに手を握った。それは拒まれなかった。彼女が笑ったので僕も笑った。彼女は誰なのだろう。