レジカウンターの後ろに取り置きのシュトーレン があった。今年も冬を告げる。袋に入ったシュトーレンにはメモ用紙が貼られ、誰が予約しているのかが記されている。その中の一つに「たかちゃん」と書いてあった。僕よりも長い常連なのであろう。いつものパンを買って会計をしていると、他の客が店に入ってきた。女主人と同年代の女性が杖をついている。僕に釣りを渡しながら彼女を視認した女主人は「ああ、たかちゃん。取ってあるよ」と声をかけた。幼馴染だろうか。