一口に53年ぶりといっても僕は31年しか生きていないわけで、中日ファンになったのも物心がついてからとすると25年ぐらいだろうか。今から25年前の1982年に中日がリーグ優勝を果たしたことはあまり記憶に残っていない。テレビに映る日本シリーズをかすかに覚えている。悔しさを知ったのは1988年。いつか日本一になってくれと、僕だけに限っていえば20年弱、そう願っていたに過ぎない。たかだか20年だ。たかが野球だ。何かに還元できるでもない、他人から見たら無意味で無益な心血の注ぎっぷりが単に実を結んだだけ。

おちょこ程度の器の僕よりも、さらい小さいおちょこの裏はあるか否かという器の人間が、結実の采配を非難しようがどうしようが、リーグ制覇を成し遂げていなかろうが、中日ドラゴンズが日本シリーズに勝ったという事実を噛みしめて僕は思ったより穏やかな気持ちのまますすり泣く。