人ごみは自転車を行く僕を阻み、サドルから降りた。いつの間にか力持ちになっていた僕は自転車を担ぎ上げて歩く。下を向いたままこちらに来る少年とぶつかった。身長同様に年齢も一回り下と思われる彼は悪態をついて睨んでいる。生意気な口を聞くので頭に血が上り、彼の胸倉を掴んだ。いつの間にか力持ちになっていた僕は片手で彼を宙に浮かせた。優位に立った気になって何年生まれか問うと昭和49年生まれだという。そっと降ろし、非礼を詫びた。