異国のようにも思えるが日本のような気もする、大いに賑わっているバザールに足を踏み入れた。初めて訪れた場所で、猥雑とした雰囲気が悪くない。人ごみと商品とで歩きづらかった。買いたいものがあったわけではない。予定も約束もない。一人、ただそこに流れ着いた。

僕は地元意識や愛国心が薄い。そういう環境で育った。一人っ子であることも手伝って、孤独を常に感じつつもそれは居心地が良い。それが夢に反映される。先行きの不安はつきまとい、それを忘れようとすればすぐに忘れることができる。夢も同じ。ほとんど忘れる。