大学構内にあるレストランへソウウツシニア、ブンレツさんと。給仕は男女二人を除いて学生のようだ。客も教授が占める。秀才女子はアルバイト間もないと受け取れ、ナイフとフォークを順番に並べる動作とメニューの音読がおぼつかない。つい今しがた覚えたばかりであるかのごとくまごつき、早口になっていた。その様子を暖かい眼差しで見守っていたつもりだが、好奇に満ちていたことは否めない。同時期に入ったと容易に推察できる秀才男子は左手を常に胸に当て、それが彼にとって緊張を落ち着かせる仕草のように思えてならなかった。ベストは後ろで縛りすぎてしわになっている。気の良い、しかし気弱な青年だった。それを見守るソムリエ女子はまごつく部下に苛立ちを隠せない。眉間にしわが寄っていてる。マスターと思しき男子は全てを包み込み、フォローに回る。テーブルを囲む教授たちはなお面白い。年輪を重ねているほど変な人間が多い。その分野では抜群に秀でた能力を持っているであろう彼らはそれ以外のことに頓着していないのだろうと思わせる着こなし、髪型、喋り方、所作。気づいた頃には満腹になっていた。