エレベータで蛾が微動だにしない。腹が減るまでそこに居続けるつもりだろうか、扉が開いて蛾は僕を見送った。
3時間後、戻ってきてエレベータを待っていると4人の職人が僕の後ろに並んだ。そういえば下の階で内装工事をしている。昼時で彼らはコンビニの袋や湯が入っていると思われるカップラーメンを手に持っていた。どの作業着にもペンキが散りばめられている。
扉が開いて蛾が僕らを出迎える。しかし悠然と構えていた姿はそこにはなく、ばたばた暴れだした。職人たちと共に蛾はエレベータを降り、今度は僕が蛾を見送った。シンナー臭が耐えきれなかったようだ。