訪れたことのない町だがそこを知っている。以前、見た夢に出てきた。その以前というのがいつだったか覚えていないが繋がった。急勾配の、すり鉢状のそこの真ん中に立って町並みが360度、見渡せる。住宅街だった。店はない。電車も走っていない。すり鉢の外にあるのだろうか。自分がどうやって来たのかは分からなかった。僕が重石になっているかのように、歩けども歩けども底に位置する。世界は僕を中心にまわっていないことも知っている。