マンションの5階のベランダから飛び降り、地面に落ちることなく、その高さから平行のまま飛び続けた。すさまじいスピードで息ができない。無音だった。途中から目も見えなくなる。飛んでいるのか落ちているのか、五感が失われると定かなものがない。何しろ重力もない。考えるのも億劫になっていたがおそらく落ちているのだろう。平行から垂直へ、地面に叩き付けられることもなく、ひたすら深みへ沈む。終わりのない落下を目覚めが止めた。