急に急激に便意をもよおしてデパートのトイレに駆け込んだがトイレットペーパーがない。分かったのは全てを出し尽くした後だった。頭を抱える。幸いウォシュレットがついていたので普段より強めの噴射、長めの温風で事なきを得た。事なきを得たのか。トランクスは少しく濡れたが許容範囲だ。

10年近く前、当時付き合っていた恋人が引越しをするといって物件を探しに知らない町に行った。初めて降りる駅は当然土地勘がなく、トイレがみつからない。仕方ないので駅まで戻り、その時も用を足してからあるべきものがないことに気づいた。思えば駅は工事中で、仮設便所ではむしろ紙を常備しているほうが稀なのだ。ウォシュレットがあるはずもなく、しばし悩んでから覚悟を決めてムスリムよろしく左手を濡らして拭いた。洗面所で丹念に洗い、仲良く手を繋いで帰ったのも懐かしい思い出。

そして同じ轍を踏む。あの時に比べれば何てことはない。